9:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:49:09.28 ID:S9RXO5Th0
「え?」
視線の先、シャッターから入ってくるのは夕日のみ。
なのに、目の前には『何か』がいた。
10:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:49:42.10 ID:S9RXO5Th0
真っ黒で陰影の無い平面の影がその格好をしているのだと思うに至った最大の理由は、彼女(スカートをはいているので女性と判断する)の頭に突起のような湾曲が出来ていて、
そのラインは私たちが良く見ているもの――――パンツァージャケットと合わせる略帽のものによく似ていたからだ。
11:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:50:20.41 ID:S9RXO5Th0
彼女が近づいてくる。
小梅の言っていたようにコマの飛んだアニメのように不気味な歩みで。
12:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:51:16.93 ID:S9RXO5Th0
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13:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:52:05.41 ID:S9RXO5Th0
『彼女』にとって、二人は鮮やかだった。
制服と同じ、灰色の世界に足された二色の絵具だった。
14:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:53:08.64 ID:S9RXO5Th0
学校で、喫茶店で、コンビニで、練習場で。
色々な記憶が巡っていく。
15:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:53:41.31 ID:S9RXO5Th0
『……』
その子は、車庫で一人佇んでいた。
16:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:55:18.97 ID:S9RXO5Th0
つま先からやすり掛けされているかの如く『彼女』は摩耗していった。
逃げ出そうとする足に、鎖のように絡みつく想い出が『彼女』を更に苦しめていた。
17:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:56:02.03 ID:S9RXO5Th0
『こんな、こんな事ならいっそっ……』
震える彼女の声が、その先を紡ごうとした時。
18:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:56:57.00 ID:S9RXO5Th0
次に、冷たいコンクリの床を這うよう映す映像。
画面の手前側から真っ黒な何かが水たまりのように広がっていく。
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