高垣楓「あなたがいない」
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151: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:47:06.79 ID:CC20O+KU0

「じゃあ、私はここに」

 ちひろさんはリビング脇の和室に、自分の荷物を置く。
 必要最低限の着替えと、メイク用品一式、あと黒い袋。いわゆるデリケート用品。
以下略 AAS



152: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:47:38.58 ID:CC20O+KU0

 ちひろさんは私の顔を見て、たしなめる。私の不安が表情に出ていたのだろうか、彼女に申し訳なく思う。
 ああ、ほんと。ダメ。
 なにを考えてもネガティブに。今の私は、アイドルである私の対極にいるようで、本当に情けなかった。

以下略 AAS



153: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:48:29.26 ID:CC20O+KU0

「そろそろ、投げ込みしましょうか」

 足の痛みが退けてきた頃、社長さんから話を切り出された。

以下略 AAS



154: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:49:14.39 ID:CC20O+KU0

「そこを突っ込まれるのは、対外的には格好の餌ですしね」
「確かに」
「それにあれは事故です。ファンの皆さんが心配なのは高垣さんの体のことであって、どうしてそうなったのか、その事実についてはあまり興味はないでしょう。
事故の要因は私たち事務所スタッフの責任ですから」
以下略 AAS



155: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:49:41.52 ID:CC20O+KU0

 ファンの皆様へ

 先日のステージでの事故では、皆様に多大なご心配をおかけしました。
 スタッフから発表があったとおり、足のねん挫とところどころ打ち付けたあざ程度で、大きな怪我をせずに済みました。
以下略 AAS



156: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:50:28.69 ID:CC20O+KU0

 できあがったメッセージを、プロデューサーに見せる。すると。

「ちょっと楓さん。申し訳ないですけど、ここ、直してもらえますか」

以下略 AAS



157: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:51:00.36 ID:CC20O+KU0

 私の勢いに、周りのスタッフが私を見る。彼らもどうしたらいいのか、手をこまねいている。
 そこに、ちひろさんが入ってくる。彼女は私とプロデューサーの間に入り込み、こう言うのだった。

「楓さん! まず、社長室に行きましょう。ね?」
以下略 AAS



158: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:51:53.31 ID:CC20O+KU0

「うーん……では伺いますけど、今の状態で高垣さんは、ベストパフォーマンスを出せる、と言い切れますか?」
「……いえ」
「なら高垣さんご自身がよく分かると思いますけど。それは、ファンの皆さんに失礼だ、って」
「……」
以下略 AAS



159: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:52:42.56 ID:CC20O+KU0

 ちひろさんは、続けて言う。

「今生活しているリズム、仕事をしているリズム、全体のリズムを大きく変えてしまうのはあまり好ましくない。そうおっしゃってました」
「リズム、ですか」
以下略 AAS



160: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:53:25.11 ID:CC20O+KU0

「高垣さん」
「え……は、はい」
「これからも無理のない程度で、よろしくお願いしますよ」
「あ……ありがとう、ございます!」
以下略 AAS



161: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:54:07.39 ID:CC20O+KU0

※ 今日はここまで ※

ではまた ノシ



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