高垣楓「あなたがいない」
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160: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:53:25.11 ID:CC20O+KU0

「高垣さん」
「え……は、はい」
「これからも無理のない程度で、よろしくお願いしますよ」
「あ……ありがとう、ございます!」

 私は慌ててお辞儀をする。
 よかった、私から仕事が奪われてしまう不安は、ひとまず回避された。

「それから千川さん」
「はい、社長」
「くれぐれも高垣さんのこと、しっかりサポートしてあげてくださいね」
「ええ、承知しました」

 ちひろさんはいつもと変わらない笑みで、社長のオーダーに首肯する。
 ちひろさんには本当に、迷惑をかけてばかり。私が少し落ち込みそうになると。

「気持ちが楽になる程度に、ぼちぼち、頑張りましょうね」

 ちひろさんが、フォローしてくれた。

「そうそう。そのあたりのさじ加減は、私たちに任せてください」

 プロデューサーはそう言うと、サムズアップをして、続けた。

「僕たちは、楓さんのチーム、ですからね」

 ああ。
 私ひとりのために、これだけの人たちが動いてくれる。私はそのことがとてもうれしく思い、そして。
 とても申し訳なく、思った。

―― ※ ――




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