151: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:47:06.79 ID:CC20O+KU0
「じゃあ、私はここに」
ちひろさんはリビング脇の和室に、自分の荷物を置く。
必要最低限の着替えと、メイク用品一式、あと黒い袋。いわゆるデリケート用品。
彼女は本当に最低限の荷物だけで、ここに来た。もっともお客様用の布団も食器類も完備しているので、それで十分だった。
「なにか、お手伝いすることは」
「いえ、こんな荷物だけですし、特になにも」
「そう、ですか」
ちひろさんにそう言われ、私はなぜか安堵した。
今私はなにかを手伝おうとしても、たぶん満足にお手伝いはできない。早くも馬脚を現すことがなかった、安堵。
そう感じることが、私を悩ませる。こんな役立たず、必要なんかないじゃないか、と。
「楓さん?」
「なんでしょう?」
「……ダメ、ですよ?」
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