154: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:49:14.39 ID:CC20O+KU0
「そこを突っ込まれるのは、対外的には格好の餌ですしね」
「確かに」
「それにあれは事故です。ファンの皆さんが心配なのは高垣さんの体のことであって、どうしてそうなったのか、その事実についてはあまり興味はないでしょう。
事故の要因は私たち事務所スタッフの責任ですから」
「いや、それでは」
「社会的に、そういうものなのです。アイドルの責任は事務所が受け持つ、これは当然のことなのですよ」
「……申し訳、ありません」
社長さんにそう言われれば私は、申し訳ないと言うしかない。私はあまり表に出るな、そうくぎを刺されているのだ。
「なので、高垣さんには自筆のメッセージをいただきます。あ、あまり事務所のこととか考えなくていいですからね。
高垣さんのファンへの想いを、そのまま書いてください」
「……分かり、ました」
「じゃあ高垣さんのメッセージができあがったら、プロデューサーに確認を取ってください。一応、ね。事務所のチェックはさせてください」
「……はい」
そして社長室から出ると、私はちひろさんから便せんを渡された。
「あまり、深刻に考えないでくださいね」
ちひろさんが言う。私はこくりと頷いた。
打ち合わせテーブルで私は文章を考える。
こうして文章を考えていると、頭の中にぐるぐると、様々な想いが渦巻いて吐き気を催しそうになる。
でも、できるだけ素直に、ファンの皆さんの、ために。
そうしてようやく、メッセージができあがる。
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