高垣楓「あなたがいない」
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153: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:48:29.26 ID:CC20O+KU0

「そろそろ、投げ込みしましょうか」

 足の痛みが退けてきた頃、社長さんから話を切り出された。

「はい、分かりました」

 私はすでに、覚悟というか準備はできている。どういう方法にするのか、それをここで決めるのだ。
 社長室には私と社長さん、それとプロデューサーの三人。

「すでにだいぶ時間が経っているので、会見という形にはしないつもりです」

 社長さんは言った。

「それは、なぜ」
「あまり突っ込まれても困りますし、それに」
「それに」
「高垣さんも、質問されても返答に困るでしょう?」
「……ええ」

 それは確かに、本当だ。
 あの時の状況を思い出してみるけれど、私がどう思ったのか、未だによく思い出せない。
 というより私の中で、あの状況がきちんと消化できていない。




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