36:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:32:27.33 ID:qe4+sBJv0
記憶の中の姉はいつも優しかった。
今のみんなの服装のような黒髪をしていた。
道を歩くときはいつも手を繋いでくれて、引っ張ってくれた。
37:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:33:08.26 ID:qe4+sBJv0
*
38:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:33:47.55 ID:qe4+sBJv0
今日もまた、頭の上で揺れるシロツメクサの冠が見える。
あれを被ってきたときは、私と遊ぶ合図の様なものになっていた。
「このシロツメクサの冠ね、ルビィちゃんが褒めてくれたんだ。」
39:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:35:40.66 ID:qe4+sBJv0
「ハァーイ、ヨハネ。」
白い月が殊更大きく見える晩だった。
「久しぶりね、マリー。」
40:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:36:35.14 ID:qe4+sBJv0
眼下に見えるは灯りの消えた空っぽの街。
やいのやいの駄弁る天使達は、音もなく春の夜空を滑るようにゆっくりと飛んでいく。
天蓋では、ゆっくりと北斗七星が満月に水を撒こうとしていた。
41:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:37:24.15 ID:qe4+sBJv0
「もうすぐ死ぬ子供だけに見えるそうよ。」
42:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:38:05.50 ID:qe4+sBJv0
朝の陽射しは僅かな木漏れ日となって、ヨハネを照らす。
昨日ほど寝付けない夜は初めてだった。
43:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:38:36.68 ID:qe4+sBJv0
ヨハネの願い通り、花丸はその日来なかった。
44:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:39:29.50 ID:qe4+sBJv0
(あいつ、さすがに心配かけすぎでしょうが。)
5日間も花丸が山に来ない日々が続いた。
45:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:40:40.24 ID:qe4+sBJv0
「ねぇ、マルは死んじゃうのかな?」
震える手でヨハネの手を握りながら、不安げな目で花丸はそう尋ねる。
ヨハネの脳裏にマリーの言葉がフラッシュバックした。
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