1:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/11(土) 22:05:08.35 ID:5HEO7PNvO
「ねえ、キョン」
「ん? どうした、国木田」
「もしかして、涼宮さんと付き合ってる?」
「はあ?」
ある日の帰り道。
同級生の国木田からおかしな質問をされた。
これまで国木田のことを谷口と違ってわりとマシな部類の人間だと思っていたのだが、どうやら認識を改める必要があるらしい。
「どうしてそうなる?」
「だってこの前、涼宮さんと一緒にダンスを踊っていたじゃないか」
「ダンスって?」
「あれだけバズっておいてとぼけるのはよしなよ。ハレ晴レユカイに決まってるだろ」
いや、別段とぼけているわけではなく、あれはあくまでも俺とハルヒの中の人が勝手にやったことであり、いくら公式に公認されているとはいえ、それを物語の中にまで持ち込むのは如何なものかと思うのだが。
「細かいことはどうでもいいからYESかNOかで答えてよ。涼宮さんと付き合ってるの?」
「NOだ」
まったくもってアホらしい。
だいたい、ちょっと仲良くダンスを踊ったくらいで交際関係になるのなら、EDを同じフレーム内で踊っている時点で俺とハルヒは出来てるってことになるだろうが。
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/11(土) 22:08:59.62 ID:5HEO7PNvO
「ふうん。まあ、そういうことにしとくよ」
「なんだその意味深な言い回しは」
「別に。キョンの周りには女の子が多いからね。対外的にはフリーってことでしょ?」
「ちょっと待て」
3:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/11(土) 22:12:48.94 ID:5HEO7PNvO
「どうせならお前もやれば良かったじゃないか。谷口の奴に誘われたんだろ?」
「死なばもろともってね。谷口には涼宮さんから直々にご指名があったらしいけど、僕にはオファーがなかったからね。これ幸いとばかりに、丁重に辞退させて貰ったよ」
やれやれ。まったく国木田はいつもこれだ。
自分だけはちゃっかり安全圏で高みの見物とは良いご身分である。そこを代わってくれ。
4:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/11(土) 22:15:27.04 ID:5HEO7PNvO
「たしかに、あの人はダンスの相手には困らないだろうね。さぞモテるんだろうなぁ」
「焦燥感に駆られたりはしないのか?」
「焦燥感も何も、初めから脈なしだからね。さっきも言った通り、僕はまだ舞台にすら上がっていないんだよ。情けないことにね」
そう語る国木田に気負った様子は見受けられないものの、力なく肩は落ちていた。
5:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/11(土) 22:18:08.05 ID:5HEO7PNvO
「つまり、僕だけは特別ってこと?」
「おい変な言い方はよせ。誤解を生むだろ」
たしかに、この国木田だけは例外であった。
俺の狭い交友関係の中で、唯一まともな感性を持ち合わせている男子生徒と言えよう。
6:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/11(土) 22:20:33.00 ID:5HEO7PNvO
「すまん。お前にそっち系の趣味があるとは思わなかった。せいぜい谷口とお幸せにな」
「そんなわけないだろ。こんなのただの冗談に決まっているじゃないか。だいたい、僕の片思い相手はキョンも知っているだろう?」
たしかに国木田が鶴屋さんに懸想していることは理解しているつもりだが、あれはもしかしたらカモフラージュという可能性もある。
7:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/11(土) 22:23:10.10 ID:5HEO7PNvO
「はあ〜……なんだか、キョンがモテる理由がわかったような気がするよ」
「いやいや、断じてモテていないぞ」
「はいはい。対外的にはそう見て欲しくて、だから男2人で寂しくダンスを踊るわけね」
だから、どうしてそうなるんだ。
8:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/11(土) 22:25:58.38 ID:5HEO7PNvO
「よ、よくわかったな。実はさっきから小便がしたくてな。もうはち切れそうなんだよ」
「やっぱり。それならそうと早く言ってくれれば良かったのに。キョンはシャイだなぁ」
「お、奥ゆかしいと言ってくれ」
はて。俺は何を言っているのだろうか。
9:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/11(土) 22:28:25.14 ID:5HEO7PNvO
「ここだよ」
「ほう。たしかに景色が良いところだな」
「でしょ? 町を見下ろす高台からの放尿は開放感があって、一度やったら病みつきだよ」
何を言っているんだ、こいつは。
10:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/11(土) 22:31:15.96 ID:5HEO7PNvO
「じゃあ、そういうことで」
「あ、待って。僕も準備するから……」
気を取り直して放尿するべく社会の窓を開けると、国木田も慌ててチャックを下ろす。
もちろん、ひとのイチモツに興味など微塵もない俺たちは夕陽に照らされた街並みを眺めながら、しばらくぼうっと突っ立っていた。
11:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/11(土) 22:33:36.66 ID:5HEO7PNvO
「国木田。せーので、同時にしよう」
「わかった。キョンに合わせるよ」
結局、最初に言った通り同時放尿を目指すことにしたのだが、これがなかなか難しい。
12:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/11(土) 22:36:05.34 ID:5HEO7PNvO
ちょろろろろろろろろろろろろろろろんっ!
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
ああ、畜生。くぅ〜夕陽が目に染みやがる。
13:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/11(土) 22:42:59.27 ID:5HEO7PNvO
キョンとハルヒの中の人のハレ晴レダンスは往年のファンの皆様にとって、とても嬉しいサプライズだったように思えます。
特にキョンの中の人のダンスの冴えは流石の貫禄で、大いに笑わせて頂きました。
もしもまだ見ていない方がいらっしゃるならば、是非とも見てみてください。
ちなみに作中では谷口の中の人のダンスを爆死と表現していますが、個人的にはとても好きで、こちらもおすすめです。
14:名無しNIPPER[sage]
2020/07/12(日) 17:01:15.20 ID:5KOqWlPIo
クヤシイけどちょっと笑った
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