72:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 19:42:21.08 ID:W5lmC8VA0
「……あはっ♪」
この子はなんて楽しい視野を持っているんだろう。
そして、私と同じ世界を見ていると、言ってくれもした。
73:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 19:43:21.01 ID:W5lmC8VA0
「ちとせさん……」
――――。
74:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 19:45:14.49 ID:W5lmC8VA0
「……魔法使い」
首を横に倒すと、部屋の隅に置かれた丸椅子に、魔法使いが足を組んで座っていた。
75:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 19:47:09.62 ID:W5lmC8VA0
「…………」
藍子ちゃんは、何も言わなかった。
私の額にそっと手をやり、口をギュッとつぐんで、今にも泣き出しそうだった。
76:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 19:52:56.96 ID:W5lmC8VA0
私は藍子ちゃんの方を見つめた。
これは、この子に返してあげるべき言葉だと思ったから。
「ちとせさん……?」
77:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 19:57:20.82 ID:W5lmC8VA0
そう――。
覚悟はしていたつもりでも、やっぱり、残念だなぁ。
「ねぇ、魔法使いさん」
78:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 19:59:12.29 ID:W5lmC8VA0
「ぷふっ。ククク……!」
藍子ちゃんの膝の上で、私の頭がヒクヒクと揺れる。
それに呼応するように、さっきまで大泣きしていた藍子ちゃんまでもが、今度は嬉し泣きに変わっていた。
79:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 20:03:18.65 ID:W5lmC8VA0
一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍が、かの星であった。
戦後、旅客機の登場により、誰もがみな空を旅することができる時代が到来して、幾年月が経ってからのこと。
人の夢はついに空を越え、月にだって届いたのだ。
80:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 20:06:44.73 ID:W5lmC8VA0
魔法使いからの提案で、私と千夜ちゃんはユニットを組む事になった。
でも、本当はたぶん、千夜ちゃんの進言もあったんじゃないかって気はしている。
もちろん、私の方こそ大喜び。
おかげで毎日が、とっても楽しい。けれど――。
81:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 20:09:03.51 ID:W5lmC8VA0
『ゴメーン☆ フレちゃんどうしても忘れんぼう屋さんでー♪』
『本当の忘れんぼう屋さんって、毎度毎度そう律儀に一週遅れの質問回答しないと思うけどね。
ま、もうすっかり恒例行事になってるおかげで、地味にこの番組の注目度も高まってるみたいやけど』
『かたじけない』
『微妙に間違ってないの腹立つ〜』
82:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 20:12:43.86 ID:W5lmC8VA0
『しかしまぁ、この「夢色ジラフ」さんの質問も大概っちゃ大概だけどねー。
あれ? ジラフって、キリンだっけ? 日本語が得意なフレデリカさん』
『ンー、確かそうカモ?』
『先週までのトークの内容にしっかり触れてる当り、この人ひょっとしてヘビーリスナーさんかも知んないよ。
いつもウチのフレがお世話になってます〜』
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