75:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 19:47:09.62 ID:W5lmC8VA0
「…………」
藍子ちゃんは、何も言わなかった。
私の額にそっと手をやり、口をギュッとつぐんで、今にも泣き出しそうだった。
心根の優しい彼女の、その一生懸命な沈黙こそが、今回の結果を雄弁に物語っている。
――どこまでも、素直な子。
「なぁ、ちとせ」
魔法使いさんが、ふと思い出したかのような調子で私に声をかけた。
「一つだけ、聞かせてくれないか」
「ふふ……なぁに?」
「今回のオーディション、楽しかったか?」
まるで、さっきまで見ていた私の夢の内容を見透かしていたかのような質問に、私は笑った。
そんな事、どう考えたってあり得ないのにね。
「何がおかしいんだよ」
「ううん」
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