黒埼ちとせ「進化論」
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74:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 19:45:14.49 ID:W5lmC8VA0
「……魔法使い」

 首を横に倒すと、部屋の隅に置かれた丸椅子に、魔法使いが足を組んで座っていた。


「ちとせ……お疲れさん」


 よく見ると、私はステージ衣装に身を包んでいて、藍子ちゃんも――。

 そして、どことなく疲れや諦めが多分に含まれた彼のその一言で、私はようやく思い出し、悟った。


 今日はオーディション当日。そして――。

「私……ダメだったんだね」


「勝っていてもおかしくない内容だった……終了間際に気を失って倒れなければ。
 たぶん、貧血だろうって」

「そっか」


 私は、首の位置を戻し、膝枕をしてくれている藍子ちゃんの顔を改めて見上げた。

「藍子ちゃんが、勝ったんでしょう?」



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