黒埼ちとせ「進化論」
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79:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 20:03:18.65 ID:W5lmC8VA0
 一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍が、かの星であった。

 戦後、旅客機の登場により、誰もがみな空を旅することができる時代が到来して、幾年月が経ってからのこと。

 人の夢はついに空を越え、月にだって届いたのだ。


 空を飛び、月をも歩いてしまうくらい、目まぐるしく世界は動いていく。
 とっても忙しくて、変わらないことが特に取り沙汰されるくらい、皆が変わっていく世界。

 一方で、かつては男の子だった銅像が豪雨で流されるように、変容していく中で自然に脅かされることもあるだろう。

 それも全て、受け入れていきたい。
 皆が廻していく先に、私や、私達の見果てぬ夢が――素敵な夢が、きっとあるのなら、一緒に見ていたい。

 それを信じさせてくれた藍子ちゃん。
 もちろん、彼女だけでなく――。

「千夜ちゃーん、ラジオつけてくれたぁ?」


 一緒のレッスンから帰り、洗面台の前で肌着を着替えながら、私は千夜ちゃんに声をかけた。

「申し訳ございません、お嬢さま。
 今、アイツからメールが来ていましたので、ちょっと先にそっちを片付け……」
「あ〜ん、魔法使いのメールなんて後回しでいいから!
 早く、ラジオっ。もう始まっちゃってるよ」



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