【オリジナル】自殺したら僕だけを誉めない有名絵師の彼氏になった件
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47: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 10:04:48.02 ID:U1qw9Qt5O
待ち合わせの時間、朝の十時に秋葉原のUDX前で会ったTERIAさんは、心なしか火曜日の晩よりやつれて見えた。
目の下の隈は相変わらずだし、頬も少しほっそりしたし、何より顔が土気色だ。
しかも今日だって、前回のデートと同じ黒いコート。

「大丈夫か? 色々無理が祟ってるんじゃないか?」
以下略 AAS



48: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 10:06:30.51 ID:U1qw9Qt5O
小一時間ほど電車に揺られ、着いたのは都内の某所にある集合墓所だった。

「ここにアイツが眠ってるのか?」
「うん。お医者様がそう教えてくれた」

以下略 AAS



49: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 10:09:39.73 ID:U1qw9Qt5O
「パプリカさんに、レンさん?」
「レンさんは知ってるけど、あっちの彼も知り合い?」
「ううん、名前と顔を知ってるだけ」

思わず二人の名前を呟いてしまい、どうにか誤魔化した。
以下略 AAS



50: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 10:11:48.72 ID:U1qw9Qt5O
「だったらなんで、アイツへそう伝えてやらなかったんだよっ!」
「伝えましたっ! 伝えたけど……伝えたけどっ……」

その先が続かなかった、いや続けることができなかったのか。
僕はてっきり「聞き入れて貰えませんでした」とでも続くものだと恐れていた。
以下略 AAS



51: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 10:14:10.48 ID:U1qw9Qt5O
確かに僕は推しカプであるりかりほ以外のカップリングに対しても、何回かTwwitter企画を開催したことがあった。
僕は読む分には雑食であり、どんなペアであってもそれなりに楽しむことができたから。
そしてそれら人気度や公式からの扱いが、今一つ良くない中堅〜マイナーなどと呼ばれるカップリング。
その魅力を発信して、興味を持つ人が増えてくれれば。
その気持ちに、嘘偽りはなかった。
以下略 AAS



52: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 10:16:25.68 ID:U1qw9Qt5O
「そうだよ、アイツ自身わかってたんだよ。『一番許せないのは、あの人がいいねと思えるようなりかりほが書けない私自身なんだ』ってな。『人間扱いされなくても仕方ないんだ』って――」
「いや、人間扱いはしてましたって! でなかったらブロックしてますからっ!」
「……そこまで病んでたんですね、彼」

ちょっとちょっと……公開処刑みたいになっているんですが?
以下略 AAS



53: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 10:19:00.93 ID:U1qw9Qt5O
「でもアンタのこと、好きになれそうにはない。友の仇とか関係なく、考え方が違い過ぎる」
「そう、ですね」
「一握りのエリートと、お気に入りの作ったものだけが世に広まればいい。そんな考え、オレは絶対認めないからなっ!」
「……」

以下略 AAS



54: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 10:21:16.53 ID:U1qw9Qt5O
TERIAさんは案外多趣味だから、アイチャン!!以外のことで色々お話しできるとも考えていなかった訳だし。
ぶっちゃけるなら、本気で彼女と親しくなりたいのであれば、もっと彼女がハマっている他のコンテンツにも手を伸ばすべきだったけど。
それこそ「彼女のお気に入りになれれば、僕だって対等に作品を評価して貰える」って下心丸出しになってしまう。
自制心が働くぐらいには、僕は僕なりに創作活動を真摯に行ってきたつもりだ。
段々と「楽しむ気持ち」が消えていって「辛い」「苦しい」「悲しい」しか思えなくなっていったのは、紛うことなき事実ではあるが。
以下略 AAS



55: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 10:22:45.19 ID:U1qw9Qt5O
タイムマシンが欲しいとずっと願っていたのは、他ならぬ僕自身だった。
アニメの一期が放映されていた頃から、りかりほ小説を書き始めていれば。
早い段階からTERIAさんの解釈に合わせ、りかりほ観を作り上げていれば。
交流用のアカウントと、りかりほ専用のアカウントを分けて運用していれば。
ネガティブな発言を控え、もっと「一緒にいて楽しい」と思われるよう振る舞っていれば。
以下略 AAS



56: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 10:25:33.09 ID:U1qw9Qt5O

自殺者が出たことで開催が危ぶまれていたアイチャン!!のオンリーイベント。
それでも来年の一月にも行われるのが決まったのは、ひとえにファン同士の地道なイメージ向上活動の結果であることは間違いない。
アシカ太郎とTERIAとの一件を機に、他カプ界隈でも大手絵師達が「もっと他人の作品を誉めよう!例えそれが解釈違いであっても」という機運が生まれ始めたのだ。
「私はあなたの努力と、好きを認めます」と大手のお墨付きを得たことで、花開いた才能は数知れず。
以下略 AAS



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