1:名無しNIPPER[saga]
2020/02/06(木) 18:12:26.57 ID:lh55PHNT0
プロデューサー(以下、P)「……はい。ではそのように調整を進めて参ります……はい、ありがとうございます。それでは失礼します」ピッ
エミリー「おはようございます仕掛け人さま。お忙しそうですね」
P「おはようエミリー。大丈夫だよ。それにちょうど良かった。今の電話、Charlotte・Charlotteがイメージキャラクターをしているおもちゃメーカーの担当者さんからだったんだけど」
エミリー「はい。先週まつりさんと私で複合商業施設で行われた商品紹介の催しを務めさせていただきました」
P「ええ。イベントもおかげさまで大好評。二人がCMに出てる着せ替え人形の売り上げも好調だってお礼の電話をいただいたんだ」
エミリー「そうでしたか。嬉しいです♪」
P「近々別のショッピングモールでもイベントを開催する予定があるみたいだから、ぜひ二人にも引き続き出演してほしいって」
エミリー「もちろん喜んでお引き受けいたします! きっとまつりさんもそうおっしゃるはずです。えっと、まつりさんはどちらに?」
P「今日は午前中にどうしても外せない用事があって、劇場に来るのは午後からになるそうだよ」
エミリー「そうでしたか……私はこの後伊織さまと一緒に電視台番組の収録に向かうので、入れ違いになってしまいますね」
P「うん。だからイベントの件は私から伝えておくよ」
P(今日のまつりは、あの子のところに行くんだったな……)
P(あの子との出逢いは、まだ私が劇場のプロデュースを任されるようになって間もない頃……当然Charlotte・Charlotteも結成されてなかったな)
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2:名無しNIPPER[saga]
2020/02/06(木) 18:13:28.98 ID:lh55PHNT0
―――回想―――
美咲「もしもし、765プロライブ劇場です。……はい……はい……。少々お待ちください。――Pさん、今大丈夫ですか。少しご相談が……」
3:名無しNIPPER[saga]
2020/02/06(木) 18:14:17.96 ID:lh55PHNT0
――そしてまつりのセンター公演当日
P「吉良木ララ様ですね。みなさまようこそいらっしゃいました。私、765プロダクションのプロデューサーをしている者です」
4:名無しNIPPER[saga]
2020/02/06(木) 18:15:03.60 ID:lh55PHNT0
P「――とまあそういうわけで、これがその子からまつり宛のファンレターだよ」
まつり「わんだほー! とってもきゅーとなお手紙なのです」
P「ララちゃんは新潟在住の小学5年生。今日はライブを見に来るために紹介してもらった東京の病院に一泊していくそうだよ」
5:名無しNIPPER[saga]
2020/02/06(木) 18:15:39.93 ID:lh55PHNT0
――後日
P「まつり、出たいって言ってたミュージカルのオーディション無事エントリーできたよ」
6:名無しNIPPER[saga]
2020/02/06(木) 18:16:40.23 ID:lh55PHNT0
P「お疲れ様。随分完成度も上がったね。今日はこの辺で切り上げようか。はい、お水をどうぞ」
まつり「はいほー! お疲れ様なのです」
7:名無しNIPPER[saga]
2020/02/06(木) 18:17:08.83 ID:lh55PHNT0
まつり「わんだほー! Pさんもシャイプリが好きなのです!?」
P「え――うん。なにせ直撃世代だからね。グッズも色々買ってもらったし、当然原作も全巻集めたよ。アニメ版は同世代の女の子ならほぼみんな観てたんじゃないかな」
P(意外だな。魔女っ子要素の有無はさておき、てっきりラブコメ系が好きなんだと思ってたからこんなに食いつかれるとは……もう少し話してみよう)
8:名無しNIPPER[saga]
2020/02/06(木) 18:17:45.16 ID:lh55PHNT0
まつり「パンドラメイデンは宇宙に混沌と闇を撒き散らす存在」
P「そしてシャイニープリンセスは混沌に抗い夢と希望を運ぶ存在」
まつり「言ってみれば両者は表裏一体」
9:名無しNIPPER[saga]
2020/02/06(木) 18:18:35.65 ID:lh55PHNT0
――オーディション会場
伏木富里子「おはようございます。スタッフのみなさん、今日はよろしくお願いします。えへへ」
10:名無しNIPPER[saga]
2020/02/06(木) 18:19:30.92 ID:lh55PHNT0
――そして
まつり「残念ながら落選してしまったのです。しょんぼりまつりなのです」
11:名無しNIPPER[saga]
2020/02/06(木) 18:20:17.43 ID:lh55PHNT0
まつり「さすが富里子ちゃん、お忙しい様子なのです」
P「ええ。けれど……落とした書類は仕事に関係したものではなかったみたいね」
まつり「資格試験の通信講座のテキスト類……だったのです」
12:名無しNIPPER[saga]
2020/02/06(木) 18:21:05.43 ID:lh55PHNT0
――帰りの車中
ブーン…
13:名無しNIPPER[saga]
2020/02/06(木) 18:21:34.31 ID:lh55PHNT0
まつり「時間さえあれば、小説も読んでみたいと思うのです?」
P「どうだろう。みんなが出てる映画やドラマの原作だったら読むだろうけど、それ以外となるとわからないな」
まつり「Pさんは、それでも平気なのですね」
14:名無しNIPPER[saga]
2020/02/06(木) 18:22:43.19 ID:lh55PHNT0
そうして腹の内を探り合うような会話をして、改めて理解したことがあった。
まつりがいつもどこか本心を秘めながら話すのは、それが彼女のポリシーだから。
場を和ませるためなら、たとえしょげていなくても「しょんぼりなのです」と言う。
15:名無しNIPPER[saga]
2020/02/06(木) 18:23:11.41 ID:lh55PHNT0
夢破れた私にとって、この劇場で切磋琢磨しながら夢を追いかける女の子たちの姿はあまりにも眩しかった。
だからこそ彼女たちの前では弱音を吐かず、せめてしっかり者のプロデューサーでいたかった。
私が女優を目指していたことを知っているのは高木社長と音無さん、そして先輩から事前に事情を聞かされていた765プロオールスターズの13人だけだ。
16:名無しNIPPER[saga]
2020/02/06(木) 18:23:40.91 ID:lh55PHNT0
――ある日の定期公演終演後
P「今日はご来場ありがとうございました」
17:名無しNIPPER[saga]
2020/02/06(木) 18:24:14.05 ID:lh55PHNT0
P(さて……ライブも終わったし、さっさと残ってる書類完成させなきゃ)
P(えっと、夜想令嬢の広告の発注に、Cleaskyのドラマスタッフとの打ち合わせ資料に、トゥインクルリズムの殺陣の先生へのご挨拶に……)
P(あーっ、ダメだ! 頭がこんがらがってきた。大きい新企画をこれだけ同時進行させるのは無茶すぎたか)
18:名無しNIPPER[saga]
2020/02/06(木) 18:24:51.91 ID:lh55PHNT0
P「!! これ……シャイニープリンセスの変身ブローチ。大人向けのリバイバルグッズで、完全受注生産だった――」
P(ずっと欲しくて予約するつもりでいたけど、忙しくてなんだかんだしてるうちに予約受付期間が終わって、泣く泣く諦めてたのに……)
まつり「シャイプリの大ファンだったPさんへの、姫からのささやかな気持ちなのです――って」
19:名無しNIPPER[saga]
2020/02/06(木) 18:25:30.67 ID:lh55PHNT0
それから数ヶ月後、39プロジェクトでは新たな試みが始まり、夜想令嬢やCleaskyなど6つの新ユニットがお披露目された。
横須賀でのライブでD/Zealの結成が高らかに発表され新ユニットの活動も後半戦に入る中、いよいよまつりの新ユニットが動き出した。
20:名無しNIPPER[saga]
2020/02/06(木) 18:26:21.27 ID:lh55PHNT0
まつり「なるほど……とっても不思議で幻想的で、心が揺さぶられるようなお話なのです」
エミリー「はい。私もすぐに物語の世界へ引き込まれました。けれど……なんだか悲しいお話ですね」
まつり「ほ?」
21:名無しNIPPER[saga]
2020/02/06(木) 18:26:51.12 ID:lh55PHNT0
――その後
P「まつり、ユニット衣装の件なんだけど――あら、休憩してるのかと思ったらファンレターの返事を書いてたのね」
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