6:名無しNIPPER[saga]
2020/01/26(日) 16:55:52.85 ID:eEyX7Fuh0
◇ ◇ ◆
休日の池袋は芋を洗うかのような有様だった。
7:名無しNIPPER[saga]
2020/01/26(日) 17:09:22.23 ID:eEyX7Fuh0
お仕事で、今後必要になるかもしれませんので、
肇ちゃんのお洋服選びのお仕事を手伝って頂けるでしょうか。
お仕事で。わくわく。
8:名無しNIPPER[saga]
2020/01/26(日) 17:29:31.22 ID:eEyX7Fuh0
「それで、何と言う店でしたか」
「あ、それはですね」
9:名無しNIPPER[saga]
2020/01/26(日) 17:56:59.59 ID:eEyX7Fuh0
肇が何度も深く頷くと、彼女は満足げな笑みを浮かべながら雑踏の中へ溶け込んでいった。
肇はその場でしばらく固まったままで、やがて気付いたように掌の紙切れを開く。
一分ほど黙読してから折り畳み、ようやく俺の近くにぎこちなく歩み寄って来た。
10:名無しNIPPER[saga]
2020/01/26(日) 18:29:09.20 ID:eEyX7Fuh0
「……まぁ、たまにはいいか」
そう返した途端、肇の表情が俄に晴れ渡った。
それからはっと気付いたように、二度、三度と咳払いを繰り返す。
11:名無しNIPPER[saga]
2020/01/26(日) 19:13:23.95 ID:eEyX7Fuh0
◇ ◇ ◆
木漏れ陽のように揺らめく光と影が床に模様を描いていく。
つい足下に気を取られている間に、ふと新たな影が視界を横切っていく。
12:名無しNIPPER[saga]
2020/01/26(日) 19:27:26.29 ID:eEyX7Fuh0
「次の展示コーナーに行きましょうか」
「ああ……しかし、混んでるな」
13:名無しNIPPER[saga]
2020/01/26(日) 19:35:58.12 ID:eEyX7Fuh0
陶芸家の手は温かいんだと、ついこの冬に聞いたのを思い出す。
あの時の手は温かく、今こうして握る手はむしろ熱い。
極力丁寧に剥がそうと、腕をくいと引いてみる。
引っ張られるようにして二歩、肇がとことこと近付いて来た。
14:名無しNIPPER[saga]
2020/01/26(日) 19:47:10.16 ID:eEyX7Fuh0
◇ ◇ ◆
「やっぱり男と女の胃は材質が違うんじゃないかと思う」
15:名無しNIPPER[saga]
2020/01/26(日) 20:29:56.42 ID:eEyX7Fuh0
高垣楓行きつけの服屋、と聞いた時は一体どんな店なのかと想像を膨らませていたが、
実際に見てみればなるほど納得するしかない。
まぁ、少なくとも鬼も蛇も出てこないだろう。
16:名無しNIPPER[saga]
2020/01/26(日) 20:44:21.99 ID:eEyX7Fuh0
あー、何と言えばいいんだったか。
携帯電話を取り出し、先ほど楓さんから送り付けられて来たメッセージを読み上げる。
「あの……?」
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