藤原肇もデートはしたい
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11:名無しNIPPER[saga]
2020/01/26(日) 19:13:23.95 ID:eEyX7Fuh0

  ◇ ◇ ◆

木漏れ陽のように揺らめく光と影が床に模様を描いていく。
つい足下に気を取られている間に、ふと新たな影が視界を横切っていく。
釣られるように見上げれば、ペンギンが空を飛んでいた。

水槽の下に詰め掛けていた群衆から歓声が上がる。
そこから少し離れるようにして佇んでいた肇の顔を盗み見てみれば、
浮かんでいたのは語るまでもない表情だった。

 「すごい……」

 「速いな」

サンシャイン水族館の目玉展示、空飛ぶケープペンギン。
満員御礼の観客達へ誇るかのように、天井へ設けられた水槽の中で、
ペンギン達がライフル弾のように水を切り裂いていく。

 「初めて見ました。ペンギンさんも、可愛いですね」

 「……」

 「Pさん?」

 「……動物にも、さんを付けるんだな」

 「え? ええ。変……でしょうか」

 「いや……可愛らしくていいんじゃないか」

 「ふふ……ですよね。ちょっと不安になっちゃいました」

可愛らしい、は呼び名自体を差した訳でもなかったが、
本人が納得しているようなのでそっとしておいた。
そういえばノルウェーでもワンちゃんワンちゃんとはしゃいでいたし、
アメにすら『ちゃん』を付けるような関西周辺独特の感覚なのかもしれない。


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