藤原肇もデートはしたい
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13:名無しNIPPER[saga]
2020/01/26(日) 19:35:58.12 ID:eEyX7Fuh0

陶芸家の手は温かいんだと、ついこの冬に聞いたのを思い出す。
あの時の手は温かく、今こうして握る手はむしろ熱い。
極力丁寧に剥がそうと、腕をくいと引いてみる。
引っ張られるようにして二歩、肇がとことこと近付いて来た。

 「肇」

 「はぐれないように」

肇は純粋で、真っ直ぐで、故に頑固なところがあった。
俯いたまま返す言葉の節々にその片鱗が確かに見え隠れしている。
ようやく空いてきた通路と握られた手とを見比べながら、俺は小さく息をついた。


 「はぐれるなよ」

 「……はいっ」


熱い手に力が籠もる。頭の上でペンギン達が呑気に浮いていた。



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