16:名無しNIPPER[saga]
2020/01/26(日) 20:44:21.99 ID:eEyX7Fuh0
あー、何と言えばいいんだったか。
携帯電話を取り出し、先ほど楓さんから送り付けられて来たメッセージを読み上げる。
「あの……?」
「すみません。『たくさん可愛くしてください』」
「アイアイサー!」
「はいはい肇ちゃんはこっちのお部屋へご招待でーす!」
「あ、え? あの、ひゃ、え? え? Pさ」
「ごめんねーここ楓さんの狩場なんだーごめんねー」
「大丈夫大丈夫! 素数でも数えてたらすぐ終わるから―」
恐らくは起こっている事態すら把握出来ていないままに、
肇が店員さん二人がかりで試着室へと連行されていき、
同時にあれやこれやが吊られたハンガーラックも景気良く運び込まれていく。
直後に何かをひん剥くような物音と、耳馴染みのあるあられも無い声が聞こえて、
それが高垣楓プロデュースであるファッションショーの開幕を告げる鐘だった。
「……すまん」
――可愛い肇ちゃん、たくさん見てみたくありませんか?
ズルい大人のズルい口車に、俺は二つ返事で乗り込む以外に無かったんだ。
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