89:松坂英治[saga]
2020/02/15(土) 14:11:53.52 ID:lmdyFlVC0
翌日。
何かと私物が一気に増えたアレイスター。中でもアレイスターの生活に意外と貢献しているものはこの間買った服である。
以前まではダブルブレザーの制服を着ていれば外国人美少女とはいえ、お巡りさんに見つかれば即補導コースだったのだが、別の服を着ていればその心配もなくなった。また見た目だけは美しい銀髪の目鼻立ちの整った可愛いらしい少女の為、試しに少しおめかしして適当な男を誘ってみれば簡単に引っ掛かるバカどももいた為、夜の遊びには事欠かないことも分かった。
そして今日はいつもの薄い青のダブルブレザーの制服ではなく、この間買ったばかりの服を着ていた。白地のシャツの上に薄い青のブラウス、同じく寒色系のミニスカートといった感じのコーディネートであった。いつものダブルブレザーの制服が着なれているせいか少しばかりか違和感はあるがそれ以上に新鮮な気持ちにさせてくれた。流行りの服を着たがる女の子達の気持ちが少し分かった親父であった。
それに最近はあのメルヘン少女達が頑張ってくれているのか魔女の動きもあまり見られない。街には平穏があり、魔女狩り出来ないことにアレイスターは少しばかり不満を持っているもののたまには平穏な街の中で過ごしてみるのも悪くはないと結論付けた。
90:松坂英治[saga]
2020/02/15(土) 15:05:57.87 ID:lmdyFlVC0
廃ビルには何やら首筋に魔女の意匠のようなものがある女性を見かけた。意匠にも魔力が少し残っているところをみるに、
(魔女の仕業かね?)
こうやって人を操ることも出来るのかと感心し、廃ビルの中へ入ろうとしたその時、
(おや?)
あの廃ビルの中へと入っていく見覚えのある一人の少女を見つけた。昨日見たとある中学校の制服に身を包み左右に分かれた綺麗な黒髪を揺らしている女子中学生。
91:松坂英治[sage]
2020/02/15(土) 15:08:25.13 ID:lmdyFlVC0
取り敢えずテストが終わるまではここでストップさせていただきます
92:名無しNIPPER[sage]
2020/02/15(土) 15:32:41.62 ID:KZDVjehIO
乙。
93:松坂英治[saga]
2020/02/16(日) 13:47:57.92 ID:GuuOmPrB0
「「?!」」
突如として現れた銀の少女。面識はある。しかし素性も正体も分からない謎の少女の登場により、驚きと困惑と疑問で頭の中を支配される魔法少女二人。巴マミの近くにいる鹿目まどかと美樹さやかも同様に固まってしまっている。
一方の銀の少女、アレイスター=クロウリーは暁美ほむらが投げようとしていたグリーフシードをひょいっと掴み取った。
「成る程、この球体はグリーフシードというのかね。“悲劇の種”ねえ。そして役割は君達魔法少女とやらの魔法を使うことによって生まれた穢れを吸い取ることか。色々分かったことがあって助かった。やはり尾行して正解だったな」
沈黙を先に破ったのはこの状況を作り出した本人、アレイスターだった。それに続くように暁美ほむらがアレイスターへと誰もが疑問に感じていることを代弁するかのように口を開いた。
94:松坂英治[saga]
2020/02/16(日) 13:58:22.04 ID:GuuOmPrB0
巴マミはというと暁美ほむらと接点があること、キュゥべえのことを知っていたことに驚いたのか、それとも単純にアレイスターの存在に疑問を感じたのか、
「あなた一体......?」
いつかの夜にも投げ掛けた疑問をもう一度銀の少女へと投げ掛ける。
「私はただの『人間』だよ」
巴マミは銀の少女の鈴を転がすような可愛らしく甘い声だと思いつつもその裏には底知れぬ深淵を覗きこんでいる感覚に陥った。鹿目まどかも美樹さやかも銀の少女の気味の悪さからか声を出せずにいるようだった。
95:松坂英治[sage]
2020/02/16(日) 17:38:05.80 ID:GuuOmPrB0
数奇な出会いから数日後。
アレイスターはいつも通りネット喫茶に引きこもっていた。そしていつも通りカメラの映像記録を見直していた。昨日まではあのグリーフシードとやらの研究を行っていたのだが何分道具が足りず、大方目星はついたのだが完全に解析するには時間がかかると分かりやる気が失せてしまった。ほら、あるじゃないか。宿題とか家事とかあと少しで終わると分かると逆にやる気が失せてどうでもよくなってくるアレだよ、アレ。
そんなこんなで今日もカメラの映像記録を見ていた気力零のアレイスたんは、あるものを見つける。
(あれは......?この間の......)
そうあの数奇な出会いの日に黄色いメルヘン少女といたピンク髪と青髪である。誰かの見舞いなのかどうやら病院へ訪れているらしい。
96:松坂英治[saga]
2020/02/16(日) 17:49:41.25 ID:GuuOmPrB0
「グリーフシードだ!孵化しかかってる!」
病院の柱に突き刺さったグリーフシードをまどかが見つけ、それが魔女の卵“グリーフシード”だということを伝えるキュゥべえ。焦燥感のある声からグリーフシードかり魔女が孵化する直前であることがうかがえる。
「嘘!何でこんな所に......!!」
まどかの不安と焦燥感のある声が伝わる。
「まずいよ......早く逃げないと!!もうすぐ結界が出来上がる!!」
97:松坂英治[saga]
2020/02/16(日) 18:48:34.68 ID:GuuOmPrB0
既に日が傾き、辺りをオレンジ色に染めた頃、巴マミと鹿目まどかが魔女の結界のもとへとたどり着いた。
「......ここね」
魔女の結界へとソウルジェムの指輪を嵌めている左手をかざした。すると魔女の結界の入り口が異世界への扉のように虚空から出てきた。
「キュゥべえ、状況は?」
「まだ大丈夫。すぐに孵化する様子はないよ」
98:松坂英治[saga]
2020/02/16(日) 18:49:17.40 ID:GuuOmPrB0
「言った筈よね?二度と会いたくないって」
挑発とも取れる言葉に対してほむらは、
「今回の獲物はわたしが狩る。あなた達は手を引いて」
「そうもいかないわ。美樹さんとキュゥべえを迎えに行かないと」
「その二人の安全は保証するわ」
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