高山紗代子「敗者復活のうた」
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152: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 14:29:57.89 ID:ZRhpxi3E0
紗代子「あ!」

『関係ない。今のも、そういう話を聞いたことがある、というだけのことだ。ではまた』

 返信があったことで、紗代子は少しホッとした。
以下略 AAS



153: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 14:31:15.32 ID:ZRhpxi3E0

 ディスプレイだけが明かりを放つ室内で、紗代子のプロデューサーである彼はキーボードを叩いていた。
 昨日は、自分らしくもなく雑談などに興じてしまった。
 最後の紗代子からの、名前が高山だから山好きの自分は選んだのか、との問いには思わず笑い転げてしまった。誰かと会話……ではないが、言葉のやり取りで笑ったのなどいつ以来だっただろう。
 だがそれはともかくとして、それによって肝心な指示を出し忘れていては、野望……いや、復讐など果たせないではないか。
以下略 AAS



154: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 14:32:35.50 ID:ZRhpxi3E0
小鳥「ふう……わかりました。ちょっと紗代子ちゃんのお家に電話してみますね」

『おねがいします』

 またしても気の遠くなるような時間が過ぎる。
以下略 AAS



155: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 14:33:48.62 ID:ZRhpxi3E0
 なんという無謀なことを!
 プロデューサーは、部屋を飛び出していた。
 自分が余計な話などしたから!!
 素直で、そしてなんでも全力でいつも要求に応えてくれる彼女を、埒も根拠もない話で危機に追いやってしまった!!!
 息を切らしながら走り、飛び込むように帰宅した彼は、押入にしまってあった登山用具を引っ張り出すと、車に飛び乗った。
以下略 AAS



156: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 14:34:39.84 ID:ZRhpxi3E0
紗代子「意外とあっという間でしたね。男体山の頂上って」

北上麗花「うーん。今日は初心者の紗代子ちゃんと登るんだし、御幸ヶ原の筑波山頂駅までケーブルカーで来たからね」

紗代子「ありがとうございます。急に山に行きたいなんてお願いして、申し訳ありませんでした」
以下略 AAS



157: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 14:35:16.11 ID:ZRhpxi3E0

P「どこだ……紗代子……紗代子ーーー!!!」



158: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 14:35:55.16 ID:ZRhpxi3E0
 一瞬、紗代子はハッとすると進む先、頭上の女体山を見上げた。

紗代子「プロ……デューサー?」

麗花「紗代子ちゃん? どうしたの?」
以下略 AAS



159: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 14:38:56.04 ID:ZRhpxi3E0
麗花「紗代子ちゃんのプロデューサーさんって、どんな人なのかな?」

紗代子「きっと私と違って、自信に満ちあふれた人じゃないかなって思います」

麗花「それはどうして?」
以下略 AAS



160: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 14:39:59.74 ID:ZRhpxi3E0

 かつての山男とはいえ、そのブランクは深刻だった。まして彼は、ここ暫くはろくに部屋から出てすらいなかったのだ。
 女体山頂を目指すコースは、かなりの急勾配だ。それを彼は、必死に進んでいく。

P「紗代子……今、行くぞ……紗代子……」
以下略 AAS



161: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 14:42:15.83 ID:ZRhpxi3E0
紗代子「プロデューサー……ですか?」

P「紗代子……!」

 どこにこれほどの元気が残っていたのかという勢いでプロデューサーは立ち上がると、肩を掴んだ。
以下略 AAS



162: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 14:43:37.78 ID:ZRhpxi3E0
P「なんだ……俺の早トチリか……良かった……」

紗代子「プロデューサー、もしかして私を心配して来てくれたんですか?」

 プロデューサーの傍らに、紗代子は腰を下ろす。その顔つきは、心配と申し訳なさがない交ぜになっている。
以下略 AAS



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