高山紗代子「敗者復活のうた」
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155: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 14:33:48.62 ID:ZRhpxi3E0
 なんという無謀なことを!
 プロデューサーは、部屋を飛び出していた。
 自分が余計な話などしたから!!
 素直で、そしてなんでも全力でいつも要求に応えてくれる彼女を、埒も根拠もない話で危機に追いやってしまった!!!
 息を切らしながら走り、飛び込むように帰宅した彼は、押入にしまってあった登山用具を引っ張り出すと、車に飛び乗った。


 はたと気がつくと、手も指も震えてはいなかった。
 それ自体、驚くべき事だが、今の彼はそれどころではなかった。すぐに頭の中を紗代子への心配が占める。

P「筑波山って、どっちだ!? 男体山か!? 女体山か!?」

 筑波山は、男体山と女体山の2つから成る山だ。それに加えて登山ルートも複数散在する。
 紗代子が登ったのは、そのどちらの山の、どのルートか……

P「確か筑波の男体山は、標高871メートルだったな。そして女体山は877メートル……」

 プロデューサーは、考えながら常磐自動車道を土浦北ICで降りた。
 そして筑波山神社の駐車場に車を停めると、荷物を担いで山頂を見上げる。

P「どのルートから山頂を目指したのか……そして男体山を目指したのか女体山を目指したのか……いや、そもそも筑波山に登るとは言っても、それが頂上とは限らないわけだし……」

 遭難者の気持ちになろうとしているのなら、逆に頂上は目指さないかも知れない。
 しかし気候も天候も今日はいい。登山客も多いルートだと、途中で横道に逸れるような真似はできないだろう。

P「よし。険しい白雲橋コースで女体山にまず登ろう」


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