71: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/03(木) 01:00:31.34 ID:1OeslLNk0
「一旦落ち着け。そして落ち着いたまま聞け。
……お前の受け入れは拒否された。艦籍は剥奪された。最早お前は無所属の艦娘だ」
「うそ」
72: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/03(木) 01:01:25.08 ID:1OeslLNk0
「この世には失敗が許されない任務というものがあります。失敗はありえないのです。ありえない。わかりますか? もし失敗したのなら、『そもそも任務があったことさえ抹消される』。当然、参加した艦娘は、初めからいなかった」
「だからなに? だから私が? 信じられると思う?」
73: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/03(木) 01:02:01.41 ID:1OeslLNk0
息が詰まる。指先が震える。怪我は、だいぶ治ったというのに。
うそだ。うそに決まっている。
確かに私の人生は不幸ばかりだった。不幸続きの人生だった。不幸と地続きに道が伸びていた。だけど、それでも、こんな、うそだ、こんなのってうそだ!
74: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/03(木) 01:02:40.16 ID:1OeslLNk0
「ありえない。プライドの高い上層部が、そんなことを認めるはずがない」
ただでさえ最近は、深海棲艦という火急を要する存在の登場によって、予算の増加と発言権の強化を得ているというのに。
わざわざあいつらが既得権益を手放すとは思えなかった。
75: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/03(木) 01:03:47.40 ID:1OeslLNk0
「いま後藤田提督が仰ったように、提督自身は空軍からの出向です。ポーラとグラーフは同盟国からの協力。大淀は海軍のお目付け役。不知火と大鷹は……生き残りです。他に行くあてもなかったもので。
山城さん、あなたは新しい土地で暮らすことができます。選択肢があるというのは大事なことです。不知火たちにはありませんでした。どうかお幸せに生きてください」
幸せに。
76: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/03(木) 01:04:56.67 ID:1OeslLNk0
――――――――――――
ここまで。
国村健臣は前作の主人公。今作はその2−3年後くらい? 出世街道まっしぐら。
77:名無しNIPPER[sage]
2019/10/03(木) 03:47:01.82 ID:VzT2CTQoo
おー国村さん出てきたか
78:名無しNIPPER[sage]
2019/10/03(木) 08:42:34.45 ID:bBYdjhmnO
乙
国村提督も元気そうで安心した
79: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/07(月) 00:48:43.50 ID:a3VuJV360
結局私は自らの基地コードを確認することすらできなかった。それは私が彼らの言ったことを殆ど真実であると受け止めているということである。悔しいことに。
事実は理解とは無関係に存在している。自らに都合よく、甘やかしてくれる「理解」とは正反対に、やつは冷徹で手厳しい。こちらの意志も、希望も、お構いなしだ。
なんとか嗚咽が零れそうになるのを殺しつつ、「少し考えさせて」と、それだけを言うことができた。不知火が提督を向く。提督は全く不服そうに、「楽に生きるんじゃねぇのか」と漏らす。
80: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/07(月) 00:50:09.40 ID:a3VuJV360
それは私が願っていた人生のはずだ。
いつか、私の――私たちの人生に分厚くかかった曇天にも穴が空いて、太陽が顔をだし、暖かい光が包みこんでくれる。そうでなければ酷いではないか。そうであってほしい。
もしこれがそうなのだとしたら、なんて意地悪な神様もいたものだ。考えうる限り不味く調理されたフルコース、その前菜が厭味ったらしくテーブルに置かれている。ナプキン代わりの押し付けがまさとともに。
81: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/07(月) 00:51:22.11 ID:a3VuJV360
幸せに生きたかった。姉さまがいれば冷たい雨も熱い日差しもへいちゃらだった。どんな困難でも、二人ならば生きていけると思った。生きてきた。
孤独が肌を刺す。
247Res/192.30 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20