27: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/08(木) 19:01:50.22 ID:caute9RW0
『これは、流石に。堪えるなあ……』
がっくりと肩を落とし、壁にもたれ掛かれば座り込んで、俺は吐くように独語した。
どういう理由かはさっぱりわからない。借金がかさんでの夜逃げか、それとも倒産か。ただ少なくとも、ここからいなくなったのはここ数日の話じゃなさそうだった。少なくとも二週間、あるいは一か月くらいは前の事だろう。
28: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/08(木) 19:03:42.48 ID:caute9RW0
『あぁ、どうするかなあ、ほんと。俺もなあ、これ、完全に手詰まりだよねえ』
こんな状況下でもポジティブシンキングが出来るほどたくましくはないわけで。もっとも、ポジティブに考えたところで何かが変わるはずもない。
このインディーズレーベルはある意味、俺にとっての命綱だと思っていた。最後の最後、本当にどうしようもない時の駆け込み寺なんだって。これはそんな失礼なことを思っていた報いなのかもしれない。
29: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/08(木) 19:04:46.97 ID:caute9RW0
(……レーベルの人? いや、今更こんなところに用はないよね)
心が折られかかっている俺はそんな風に考え、特に気にすることもなかった。いっそ、誰であろうと無視をしよう。そう思った。
――けれど、それは許されなかった。
30: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/08(木) 19:05:52.47 ID:caute9RW0
「一月前ほどまで、ここにあったインディーズレーベルの関係者かね?」
『……いいえ、そうありたいと思っていた人間ですけど。それが?』
憮然とした態度をとってしまったことに一瞬、しまった、と考える。だがどうにでもなれという気持ちのほうが勝って。反抗的な視線で彼を見据えた。
31: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/08(木) 19:06:20.85 ID:caute9RW0
『……もしかすると、意味があるかもしれないじゃないですか』
言ってから意味などないと思った。こんな子供の駄々でしかない言葉を取りあう人なんているはずがない。
「そうか、では話してみようか」
32: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/08(木) 19:06:50.34 ID:caute9RW0
本日はここまでになります。
また数日中には続きを投稿する予定です。
ありがとうございました。
33:名無しNIPPER[sage]
2019/08/09(金) 07:59:29.28 ID:0oxkVZ13o
前作読み直すとだいたい登場はしてるんだよね、このシリーズのP
復習するかな
34: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/15(木) 16:28:14.98 ID:p4U+w2zG0
□ ―― □ ―― □
35: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/15(木) 16:28:41.47 ID:p4U+w2zG0
「面白い話だ。君がアイドルのプロデューサー、か。いいじゃないか、私は興味がある。我がプロダクション初のプロデューサーが君ということに」
耳を疑った。正直、夢かな? と思って何度か社長の目の前で頬をつねった。
何せ俺の荒唐無稽な夢の話を聞いて馬鹿にしたそぶり一つ見せず、あまつさえ俺をプロデューサーとして雇うことに興味がある、とまで言い出したのだから。
36: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/15(木) 16:29:08.30 ID:p4U+w2zG0
『……やることは、変わらないよね』
これは! という女の子を説得し、連れてくること。それしか思い浮かばなかった。むしろそれしか俺にはないってことでもある。ある意味簡単な話になった。やったな。
問題はそれが限りなく難しいことなんだけれども。
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