27: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/08(木) 19:01:50.22 ID:caute9RW0
『これは、流石に。堪えるなあ……』
がっくりと肩を落とし、壁にもたれ掛かれば座り込んで、俺は吐くように独語した。
どういう理由かはさっぱりわからない。借金がかさんでの夜逃げか、それとも倒産か。ただ少なくとも、ここからいなくなったのはここ数日の話じゃなさそうだった。少なくとも二週間、あるいは一か月くらいは前の事だろう。
つまり俺がここにやってきた二か月前の時点でおそらく、こうなる未来はおおむね決まっていたか決めていたことになる。まあ、それ自体はそこまで気にしていない。
俺に実害はない。別に就職していたわけでもなければ内定をもらっていたわけでもないのだ。せいぜい、さほど価値のない俺の個人情報を知られた程度なわけで。ただそれよりも個人的にきついのは。
『なんも連絡なし、かあ。所詮、その程度にしか……思ってくれてなかったんだなあ……』
何か一言で良かった。それこそ直接でなくてもいい。留守電に残す程度で良かった。
「明日、ウチ潰れるんで。いままでありがとね〜」
そんな小馬鹿にしたような報告でも良かったんだ。連絡するに値しない存在だと、そう思われていた。これは流石の俺でも心が折れそうになる。
人を見る目に自信があるわけじゃないからこういうこともあるのだろう。それは納得できる。けどこんなことがあって凹むな、というのが無理じゃあないだろうか。
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