【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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262
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◆DAC.3Z2hLk
[saga]
2019/09/03(火) 01:14:46.15 ID:/BT2JQWN0
◆◆◆◆
どれほど歩いただろう。
以下略
AAS
263
:
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]
2019/09/03(火) 01:16:31.29 ID:/BT2JQWN0
頬を張り、軽くストレッチをする。
長く止まっていると余計な考えばかりが浮かぶ。
弱い気持ちを振り払うためにも、歩き続けるしかなかった。止まらないでいるうちは、少しでも近付いていると思おう。
以下略
AAS
264
:
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]
2019/09/03(火) 01:17:29.66 ID:/BT2JQWN0
「こんばんは、クロさん」
「どうして……ここに」
「あなたの様子を見て欲しいって、総代に頼まれたの。どこかで途方に暮れてないかってね」
以下略
AAS
265
:
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]
2019/09/03(火) 01:18:32.88 ID:/BT2JQWN0
頭ではわかっている。
つまるところ彼女は、柊さんの仕向けた最初で最後の罠であり――
一方で、間違いなく助け舟そのものでもあった。
以下略
AAS
266
:
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]
2019/09/03(火) 01:19:18.13 ID:/BT2JQWN0
手を取れば、帰れる。いつもの日常に。
何らおかしなことも起こらない、見たくないものは見ずに済む、自分だけの静かで平坦な人生に――
以下略
AAS
267
:
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]
2019/09/03(火) 01:20:25.23 ID:/BT2JQWN0
「……いいのね?」
「はい。自分で決めたことですから」
誰に許されなくとも、何に背こうとも。自分自身の弱い心にだって例外じゃない。
以下略
AAS
268
:
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]
2019/09/03(火) 01:21:18.01 ID:/BT2JQWN0
「いえ。……というより……」
返事は、驚くほどスルッと出た。
脳裏に思い浮かぶのは、今もきっと盛り上がっているであろう年越しライブの様子だ。
以下略
AAS
269
:
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]
2019/09/03(火) 01:22:48.19 ID:/BT2JQWN0
父親の進退やアイドル業界の裏事情や、勝つか負けるかなんてこと、本当はどうだって良かった。
きらきら輝くあの人たちは、一体どこへ行ってしまったんだろう。
泣いてはいないか。寒くないだろうか。寂しい思いをしてはいないだろうか。
以下略
AAS
270
:
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]
2019/09/03(火) 01:24:13.64 ID:/BT2JQWN0
「……ありがとうございます。気が楽になりました」
「行くのね?」
「はい」
以下略
AAS
271
:
◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]
2019/09/03(火) 01:25:32.19 ID:/BT2JQWN0
マスターは少し考えた。
やがて傘を閉じ、風に舞う花吹雪に総身を晒す。
「――今からこの傘を倒すわ。倒れた方角が、あなたの向かう先」
以下略
AAS
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