【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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126:名無しNIPPER
2019/07/06(土) 16:55:11.10 ID:uX8bu3fGO
 そういえば、童謡のカナリアは「なぜ歌を忘れたのか」がはっきりしてないんだよな。
 それ(≒楓さんが歌を捨てた理由)を明らかにしないままただ思い出させることだけを目的にして立てた計画がうまくいく道理はなかろう。


127: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2019/07/07(日) 22:18:01.34 ID:BmYrOlBS0

 マスターが言うには、夜市の開催には「サイン」があるのだという。


 それは十分な観察力と、ある種の慣れが無ければ見抜けない。
以下略 AAS



128: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/07/07(日) 22:19:46.92 ID:BmYrOlBS0

「見方がわかれば、そんなに難しくはないの。私でも追えるくらいだから」

 赤く色づいた並木道がライトアップされている。
 どこかから金木犀の香りがする中で、マスターは迷わず歩を進めた。
以下略 AAS



129: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/07/07(日) 22:22:26.02 ID:BmYrOlBS0

「けど、良かった」
「何がですか?」
「カナリヤさん、あまり人付き合いが得意な方ではないから。あなたみたいなお相手ができて嬉しいと思うの。大事にしてあげてね?」

以下略 AAS



130: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/07/07(日) 22:26:40.09 ID:BmYrOlBS0

   ○


 あの巨大な桜は、十月を過ぎても満開だった。
以下略 AAS



131: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/07/07(日) 22:29:04.10 ID:BmYrOlBS0

 ここ数週間で起こったことを、全部話した。
 俺の決意。進めていた企画。その理由と思惑。

 もちろん、けんもほろろに断られたことも。
以下略 AAS



132: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/07/07(日) 22:32:58.63 ID:BmYrOlBS0

 即答は……できなかった。

 ただ、彼女の才能を惜しく思ったから。
 存分に発揮できる場所を用意して「あげたかった」。
以下略 AAS



133: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/07/07(日) 22:38:04.02 ID:BmYrOlBS0


「彼女は人の身ながら人の手に余る。神業、あるいは魔性のそれよ。だから歌さえ自ら封じたの」


以下略 AAS



134: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/07/07(日) 22:39:43.78 ID:BmYrOlBS0

 幼子を諭すような、ひどく淡々とした口調。
 落ち着き払った彼女の姿に、似ても似つかぬ男の顔がダブる。

 同じような語り口で、同じようなことを言ったあいつの顔が。
以下略 AAS



135: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/07/07(日) 22:41:34.49 ID:BmYrOlBS0

 一気にまくし立て、肩で大きく息をする。
 柊さんはそれでも微動だにしなかった。
 琥珀色の瞳が下からこちらを見据え、心の裏側までも見透かして告げる。

以下略 AAS



136: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/07/07(日) 22:42:46.54 ID:BmYrOlBS0

 俺はもう何も言わずに踵を返した。
 話を続けようにも、無意味な気がした。彼女と俺とでは議論が平行線どころか、そもそもの論点から違う。

 去り際の背中に、柊さんの声がかかる。
以下略 AAS



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