【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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132: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/07/07(日) 22:32:58.63 ID:BmYrOlBS0

 即答は……できなかった。

 ただ、彼女の才能を惜しく思ったから。
 存分に発揮できる場所を用意して「あげたかった」。
 そうすることで俺自身が彼女にどうこうとか、何か美味い汁を吸おうだなんて思ったことはない。だが。

 そこに、自分自身のエゴが絡まないだなんて、心の底から言えるだろうか。


「私が言いたいのはね、クロさん。人には人の、相応の居場所があるということなの」


 いつの間にかワイングラスは空になっていた。
 柊さんは俺から視線を外さぬまま続ける。




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