86: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 23:19:54.54 ID:9pdDfgPfo
「Emily Stewart...デス。 アナタ、ハ、ナント、イイマス、カ?」
「エミリー……っていうの?」
今度はあたしの声に反応して、コクコクとうなずく。なんだかちょっと照れくさい。
87: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 23:21:58.91 ID:9pdDfgPfo
そのまま部屋に置き去りにされたあたしは、エミリーっていうその子がひたすらお人形遊びをしているのをただ見ているしかなかった。
さっきよりは退屈じゃないけど、それでも退屈。
両手に持った人形が二つ。色違いのドレスを着た、そっくりな双子みたいな人形。
88: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 23:22:32.26 ID:9pdDfgPfo
「...This is Charlotte.」
「うん」
「And this is Charlotte.」
89: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 23:23:16.69 ID:9pdDfgPfo
*
次の日もパパはお仕事で忙しいからって、泊まっていたホテルからまたスチュアート家におじゃましてあずかられることになった。
どういうこと?あたし“ホームステイ”しに来たんじゃないのよ?
90: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 23:24:15.92 ID:9pdDfgPfo
昨日までパーティーの会場だった広間はけいこのためにすっかりかたづけられていた。
エミリーはその広い部屋の真ん中で着物に身をつつんで、先生らしき人の手拍子に合わせてふり付けをくりかえし練習しているらしかった。
「《エミリーさん、もっと腰を落として》」
91: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 23:25:40.89 ID:9pdDfgPfo
けれど練習がもう一度始まるとエミリーのさっきの元気はどこへやら、またいやいやそうにおどっていた。おばさんに質問してみる。
「あの子日本舞踊、きらいなの?」
「Hmm...」
92: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 23:26:41.37 ID:9pdDfgPfo
ようやく終わったと思って周りを見てみると、おばさんと先生はにっこりしながら拍手をくれた。最後に小さくお辞儀をする。
エミリーはというと──まぶたをぱちくりさせて、目をキラキラさせながら「Wow...!」とか言ってた。
「That was beautiful...!」
93: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 23:27:45.02 ID:9pdDfgPfo
「……ヤマ、タナ……?」
「《ヤマトナデシコよ、エミリー》」
「《ヤマ、ト、ナデシ、コ?》」
94: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 23:28:42.37 ID:9pdDfgPfo
*
気がついたら朝になっていた。
95: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 23:29:44.51 ID:9pdDfgPfo
「……エミリー……?」
「……あれ、どうして……? ここは……」
「……エミ、り……っ……」
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