エミリーが忘れた日
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91: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 23:25:40.89 ID:9pdDfgPfo
 
けれど練習がもう一度始まるとエミリーのさっきの元気はどこへやら、またいやいやそうにおどっていた。おばさんに質問してみる。

「あの子日本舞踊、きらいなの?」
「Hmm...」

どうやらおじさんとおばさんに言われて始めたみたい。

「……そうだ、良かったらお手本を見せてもらえないかしら?」
「えっ、あたしが?」

おばさんは急にそんなことを言いだした。
だから日本人だって舞踊はめったにやらないわよ、たしかにあたしはちょっとならできるけど……

「それに、着物もないし」
「いいえ、あるわ。 たぶんあなたにちょうどいいのが」

いきなりそんなこと言われても……むずかしいことは大して覚えてないのに。

「……しょうがないわね」

だけどなんだかすっごく期待されちゃってるみたいだから、水瀬のむすめとして、ここで「できません」なんて言えないような気がした。



おばさんが持ってきてくれた着物は運よくあたしにぴったりのサイズだった。

「《エミリー、よりちゃんがブヨウを踊ってくれるそうよ》」
「《本当に……?》」

それらしい会話をこっそり聞きながら、部屋のはしっこでスタンバイ。おばさんにまで名前まちがえられてるし。
それに今さらだけど、どうしてあたしがこんなことしなきゃいけないのか……いちおう、お客さんでしょ?

──けれど、のりかかった船ってやつだし、昔やったことを必死に思い出しながら、めいっぱいやってみた。
自信なかったけど、何とか一曲舞ってみせる。


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