エミリーが忘れた日
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92: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 23:26:41.37 ID:9pdDfgPfo
 
ようやく終わったと思って周りを見てみると、おばさんと先生はにっこりしながら拍手をくれた。最後に小さくお辞儀をする。
エミリーはというと──まぶたをぱちくりさせて、目をキラキラさせながら「Wow...!」とか言ってた。

「That was beautiful...!」
「あ、ありがとう……」

とりあえずほめられていることは分かったので、悪い気はしない。

「《ママ……! すごかった! かっこよかった! キモノもすっごく似合ってる!》」

おばさんの服のそでをつかんで、エミリーがこうふん気味に言っていた。

「《エミリーも練習すればあのくらい上手くなれるわよ》」
「《本当に? なれる?》」

先生も日本語が話せるようで、「さすが本場の技ですね」なんて言ったりして。

「……ま、まぁ、この伊織ちゃんにかかればこんなもんよ!」

なんだかさんざんもてはやされていい気になっちゃったもんだから、ついついそんなことを言ってしまった。

「日本舞踊なんてかんたん。 だってあたし、“大和撫子”だもん!」

エミリーは「そんけいのまなざし」をあたしに向けてから、ちょっとずつ顔に「?」をうかばせる。


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