エミリーが忘れた日
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95: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 23:29:44.51 ID:9pdDfgPfo
 
「……エミリー……?」
「……あれ、どうして……? ここは……」
「……エミ、り……っ……」

何ヶ月も何年も彼女の声を聞いていなかったような、そんな気がした。
見えるもの全てが水底に沈んでゆらゆらと揺れ始める。
体を起こしたエミリーを手探りで抱き寄せて、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔を彼女の寝間着へ押し付けるように目いっぱい抱きしめながら、
わんわんと止まらない泣き声を力任せに上げ続けた。

「伊織さま? どうかされたんですか? どうして泣いているのですか……?」
「ぢがうのっ……よかっ、よがっだ……う゛ぅ……わ゛あぁああぁあぁっ…………!」

はじめは驚いて少しうろたえていたエミリーは、ずっとずっと情けなく泣き喚いている私の頭をそっと包み込むように撫でてくれた。

「え゛みりぃっ……! え゛みりい゛ぃっ……! っぐ、うあ゛あ゛ぁあああぁっ……!」
「……大丈夫ですよ、伊織さま」

私が泣き止むまでずっと撫で続けてくれた。



「私は……エミリーはここにいますよ……」


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