7:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/28(日) 19:30:45.87 ID:D/gZfYJM0
「あ、あれ? おいっ、何してんだ!?」
急にドアがバターンと開いて、プロデューサーが飛び込んできた。
ふむ、にゃるほど。とするとやはり――。
8:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/28(日) 19:32:02.31 ID:D/gZfYJM0
――――
「よ、おっ……わ、きゃぁ!」
9:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/28(日) 19:34:57.01 ID:D/gZfYJM0
実際、夕美ちゃんの運動神経はたぶん悪い方じゃない。
ただ何よりも、彼女はとってもマジメだ。
レッスンに対し真摯に取り組む姿勢は、他の子達と比べても一際なのだそう。
あたしは、どうだったんだろう?
10:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/28(日) 19:38:09.82 ID:D/gZfYJM0
ところが、今のあたしは、夕美ちゃんという比較対象を得ている。
彼女が今苦しんでいるステップも、あたしは初見でこなすことができたものだ。
トレーナーさんの表情がさほど曇っていないところを見ると、それは決して珍しい事象ではないのだろう。
11:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/28(日) 19:40:57.78 ID:D/gZfYJM0
夕美ちゃんが事務所に来て、異変がもう一つあった。
「よいしょ、っと……」
「? 夕美ちゃん、何してんの?」
12:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 19:43:26.60 ID:D/gZfYJM0
夕美ちゃんに連れられていった1階のガレージは、思いのほか良いカンジの環境だ。
広いし、最低限の採光も換気扇もあるし、間仕切りを隔てた隣の部屋には簡単な水回りもある。
ただ、蛇口を捻るとドボドボと赤茶色の水が流れてきて、夕美ちゃんはビックリして飛び退いた。
13:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 19:47:10.99 ID:D/gZfYJM0
プロデューサーはというと、そんな夕美ちゃんを心の底からありがたがっていた。
「ありがとう夕美……本当に助かる。俺の頭痛のタネを、こんなにも綺麗に…」
「冷蔵庫にあったPさんのビール、捨てといたからね」
「えっ!? 何で!?」
14:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 19:52:19.90 ID:D/gZfYJM0
あたしは、人間付き合いの経験が浅い。
気づけばあたしの回りには、権威と呼ばれるお偉い先生ばかりが集まっていた。
あたしが適当なプレゼンをすれば、彼らは何でも持て囃した。
15:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 19:53:55.72 ID:D/gZfYJM0
「あ……し、志希ちゃん?」
「ん?」
ふと、夕美ちゃんがあたしの顔を覗き込んだ後、ちょっと顔を伏せた。
16:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 19:55:43.77 ID:D/gZfYJM0
「夕美ちゃん」
「ん、何?」
服屋さんを出て、大きな袋を両手にいくつも抱える夕美ちゃんがくるりと振り返る。
中身はほとんどあたしのものだ。
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