46:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 21:37:22.75 ID:D/gZfYJM0
花が――お部屋の中に、一つも無い。
いや、さっき通った玄関と、トイレと、冷蔵庫の上――。
そういう所には、申し訳程度だけど、あるにはある。
47:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 21:40:09.38 ID:D/gZfYJM0
「んーと……こっちの子達は、温度とか湿度とか、気にしてあげる必要があるの。
ほら、最近、寒いし」
「ふーん」
48:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 21:43:12.43 ID:D/gZfYJM0
「えっ? あ……うん、いいよっ」
夕美ちゃんの表情は、本当にコロコロとよく変わる。
彼女はおそらく、ロクにウソを付いたことすら無いんだろうな。
49:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 21:45:17.71 ID:D/gZfYJM0
「……志希」
あたしの後ろで、彼の緊張した声が聞こえた。
振り返るとやはり、相当に焦っている。まーそりゃそうか。
50:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 21:46:34.50 ID:D/gZfYJM0
「プロデューサーはさ、知ってる?」
「何?」
これから大舞台に立とうとゆー担当アイドルに向かって、そんな暗い表情ばっかしてていいのかねキミ?
まったく、かくして人はガラにも無い役回りを演じるハメになるのだ。
51:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 21:49:08.49 ID:D/gZfYJM0
――――。
あたし、また何かやっちゃいましたか?
なーんて、流行りの言葉では言うらしい。
52:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 21:51:54.42 ID:D/gZfYJM0
「夕美……どうか、落ち着いて聞いてくれ」
事務室の応接スペースで、プロデューサーと夕美ちゃんが向かい合わせに座っている。
昨日、ようやく連絡が取れて、夕美ちゃんがここに顔を出すのも久しぶりだ。
53:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 21:58:17.36 ID:D/gZfYJM0
「分かっています」
小さい声でボソリと呟き、夕美ちゃんは顔を上げた。
言葉遣いにさえ、普段の快活なカンジはどこにも見当たらない。
54:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 22:01:40.95 ID:D/gZfYJM0
「推論が正しくないのなら、その証拠を提示しなければならない。これを反証とゆー」
二人の間のテーブルに、週刊誌の上から座り、あたしは夕美ちゃんに向けて首を傾げてみせた。
55:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 22:03:14.19 ID:D/gZfYJM0
「は?」
彼の口から間抜けな声が飛び出す。
顔を上げた夕美ちゃんも、一層の驚きに満ちた表情だ。
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