49:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 21:45:17.71 ID:D/gZfYJM0
「……志希」
あたしの後ろで、彼の緊張した声が聞こえた。
振り返るとやはり、相当に焦っている。まーそりゃそうか。
「さっき、夕美から連絡があってな……今日のステージは、お前一人で立ってもらうことになる」
合同ライブの本番当日。
夕美ちゃんがいないことを除いて、既につつがなくリハも終えている。
いや、あの日からとっくに、あたしの腹は決まっているのだ。
夕美ちゃんは今日、来れない。
「良かったねー、あたしまで失踪しなくて♪」
いつも通り、にゃははと笑い飛ばしてみせる。
一方でプロデューサーは、表情を強張らせたままだ。
「お前は、何も聞かされていないのか?
今日のライブの重大さは、お前はともかく、夕美も重々承知していたはずだ。
ロクに理由も明かさずに、夕美がこの仕事をキャンセルするなんて……お前の言う通り、まるで失踪だ」
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