46:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 21:37:22.75 ID:D/gZfYJM0
花が――お部屋の中に、一つも無い。
いや、さっき通った玄関と、トイレと、冷蔵庫の上――。
そういう所には、申し訳程度だけど、あるにはある。
だけど、こんなにお花が少ないなんて一体――。
「あ、ううん」
驚きを隠せないあたしを見るにつけ、夕美ちゃんはまるで言い訳をするかのように声を掛けた。
「あ、あるよ? お花は今、バルコニーと、こっちに寄せてあるの」
そう言って、夕美ちゃんはリビングの脇にある収納スペースの扉を開けた。
「おぉ〜」
にゃるほど。
収納の中は、黄色とか白とか、どことなく統一された花々で一杯だ。
よく見ると、花が置かれていたはずのリビングの床は、たぶん服とかを入れているであろう収納ボックスが雑然と置かれている。
ふふふ、後で夕美ちゃんの下着とか物色しちゃおうかにゃ?
でも――。
「何でこっちに入れてるの?」
パッと見て、夕美ちゃんらしくないなと思った。
お花が大好きの夕美ちゃんが、まるで視界に入らない所へお花を隠しているみたいだ。
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