52:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 21:51:54.42 ID:D/gZfYJM0
「夕美……どうか、落ち着いて聞いてくれ」
事務室の応接スペースで、プロデューサーと夕美ちゃんが向かい合わせに座っている。
昨日、ようやく連絡が取れて、夕美ちゃんがここに顔を出すのも久しぶりだ。
当の夕美ちゃんは、普段からは想像もつかないほどに体を縮こませ、膝の上で手をギュッと握り、俯いている。
二人に挟まれたテーブルの上には、件の週刊誌が開いて置かれている。
「事務所の中では、この記事の真偽についての意見は、半々といった所だ。
俺自身、正直に言うとまだ明確な判断が……100%の確信が、得られないでいる。
ただ、いいか夕美」
プロデューサーは、極めてゆっくりと夕美ちゃんを、そして自分自身を落ち着けるように語りかける。
「どちらにせよ、俺はお前がこの件について世間から責められることの無いよう、全力でお前を守る。
もちろん、個人の問題として片付けること無く、事務所としても対応してもらえるよう、上層部にも働きかける。
誓って言うが、俺にはこの場でお前を糾弾するだとか、咎めたり戒めたり、追い詰めるつもりなんてこれっぽっちも無い。
お前には絶対に、苦しい思いはさせない。約束する」
そういう時は、「お前は絶対にやっていないと俺は信じている」って言ってあげるべきじゃない?
――いや、そう言うとかえって夕美ちゃんにプレッシャーを与えちゃうのかな。
人間付き合いの経験が浅いあたしには、彼がかけた言葉の良し悪しが分からない。
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