一ノ瀬志希「ほころび」
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54:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 22:01:40.95 ID:D/gZfYJM0
「推論が正しくないのなら、その証拠を提示しなければならない。これを反証とゆー」


 二人の間のテーブルに、週刊誌の上から座り、あたしは夕美ちゃんに向けて首を傾げてみせた。

「プロデューサーを困らせるなんて、夕美ちゃんらしくないね?
 夕美ちゃんなら、この場で秘匿することは求められていないって、分かってるはずなのに」

「おい、志希」
 彼があたしを咎める声が聞こえる。
 でもごめんね、あたしはこういう時の空気の読み方を知らない。
 目的を達成させるための手段を選ぶ必要性が、あたしには分からない。


 ――夕美ちゃんは、やはり口を開くことはなかった。



 で、あるならば、だ。


「真実を得られないなら、いっそ真実を作っちゃおう、プロデューサー」



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