3:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/28(日) 19:13:34.71 ID:D/gZfYJM0
「なっ!? の、だ、誰が飲むか!」
なぁんだ、志希ちゃんつまんな〜い。
手の中にある、沸騰した試験管を台に戻す。
4:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/28(日) 19:15:18.61 ID:D/gZfYJM0
今、この事務所にはあたし以外にもアイドルやその候補生達が何人かいて、それぞれにプロデューサーが付いている。
プロデューサー一人当たり、大体2〜3人のアイドルを担当している計算だ。
今の彼の担当は、あたし一人だけ。
聞く所では、彼も新人ってわけじゃないらしいし、もう一人くらいアイドルが付くのは何もおかしいことじゃない。
5:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/28(日) 19:19:19.40 ID:D/gZfYJM0
――おっといけない。
火にかけてあった丸形フラスコをそっとどかす。加熱時間は3分52秒。温度は116度。メモメモ。
この世界には二つしか無い。
予測できるものと、できないもの。
6:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/28(日) 19:28:16.87 ID:D/gZfYJM0
――振り返ると、女の子が一人、ドアのそばに立っていた。
快活な印象を与える明るいミディアムショートの金髪に、ライトグリーンの七分袖シャツ。
その下はブルーのワンピースで、花柄のアクセントが愛らしいパンプス。
7:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/28(日) 19:30:45.87 ID:D/gZfYJM0
「あ、あれ? おいっ、何してんだ!?」
急にドアがバターンと開いて、プロデューサーが飛び込んできた。
ふむ、にゃるほど。とするとやはり――。
8:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/28(日) 19:32:02.31 ID:D/gZfYJM0
――――
「よ、おっ……わ、きゃぁ!」
9:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/28(日) 19:34:57.01 ID:D/gZfYJM0
実際、夕美ちゃんの運動神経はたぶん悪い方じゃない。
ただ何よりも、彼女はとってもマジメだ。
レッスンに対し真摯に取り組む姿勢は、他の子達と比べても一際なのだそう。
あたしは、どうだったんだろう?
10:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/28(日) 19:38:09.82 ID:D/gZfYJM0
ところが、今のあたしは、夕美ちゃんという比較対象を得ている。
彼女が今苦しんでいるステップも、あたしは初見でこなすことができたものだ。
トレーナーさんの表情がさほど曇っていないところを見ると、それは決して珍しい事象ではないのだろう。
11:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/28(日) 19:40:57.78 ID:D/gZfYJM0
夕美ちゃんが事務所に来て、異変がもう一つあった。
「よいしょ、っと……」
「? 夕美ちゃん、何してんの?」
12:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 19:43:26.60 ID:D/gZfYJM0
夕美ちゃんに連れられていった1階のガレージは、思いのほか良いカンジの環境だ。
広いし、最低限の採光も換気扇もあるし、間仕切りを隔てた隣の部屋には簡単な水回りもある。
ただ、蛇口を捻るとドボドボと赤茶色の水が流れてきて、夕美ちゃんはビックリして飛び退いた。
138Res/139.96 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20