一ノ瀬志希「ほころび」
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11:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/28(日) 19:40:57.78 ID:D/gZfYJM0
 夕美ちゃんが事務所に来て、異変がもう一つあった。

「よいしょ、っと……」

「? 夕美ちゃん、何してんの?」
以下略 AAS



12:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 19:43:26.60 ID:D/gZfYJM0
 夕美ちゃんに連れられていった1階のガレージは、思いのほか良いカンジの環境だ。
 広いし、最低限の採光も換気扇もあるし、間仕切りを隔てた隣の部屋には簡単な水回りもある。

 ただ、蛇口を捻るとドボドボと赤茶色の水が流れてきて、夕美ちゃんはビックリして飛び退いた。

以下略 AAS



13:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 19:47:10.99 ID:D/gZfYJM0
 プロデューサーはというと、そんな夕美ちゃんを心の底からありがたがっていた。

「ありがとう夕美……本当に助かる。俺の頭痛のタネを、こんなにも綺麗に…」
「冷蔵庫にあったPさんのビール、捨てといたからね」
「えっ!? 何で!?」
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 19:52:19.90 ID:D/gZfYJM0
 あたしは、人間付き合いの経験が浅い。

 気づけばあたしの回りには、権威と呼ばれるお偉い先生ばかりが集まっていた。
 あたしが適当なプレゼンをすれば、彼らは何でも持て囃した。

以下略 AAS



15:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 19:53:55.72 ID:D/gZfYJM0
「あ……し、志希ちゃん?」
「ん?」

 ふと、夕美ちゃんがあたしの顔を覗き込んだ後、ちょっと顔を伏せた。

以下略 AAS



16:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 19:55:43.77 ID:D/gZfYJM0
「夕美ちゃん」
「ん、何?」

 服屋さんを出て、大きな袋を両手にいくつも抱える夕美ちゃんがくるりと振り返る。
 中身はほとんどあたしのものだ。
以下略 AAS



17:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 19:57:28.09 ID:D/gZfYJM0
 お腹を抱えてゲラゲラと笑う。
 あたしのアイドルとしての知名度はまだそんなに無いけれど、往来のど真ん中で大声を張り上げれば、そこそこ人目にはつくものだ。

「し、志希ちゃんっ! 恥ずかしいから、もう行こう、ねっ?」
「うんうん、夕美ちゃんの行きたい所にね」
以下略 AAS



18:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 20:01:26.46 ID:D/gZfYJM0
 荷物を駅のロッカーに預け、連れられた先は――。
 へぇー、お花屋さんかぁ。

「ひょっとして、夕美ちゃんまたあたしに気を遣った?」
「えっ、志希ちゃんもお花好きなの?」
以下略 AAS



19:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 20:05:33.05 ID:D/gZfYJM0
「夕美ちゃんの家にも行っていい?」
「えっ? い、いいけど、どうせ帰る所一緒じゃない?」

 夕美ちゃんとあたしは、マンションが同じだ。
 事務所が借りている部屋が何戸かあり、主に地方から上京してきたアイドルの単身住まい用として提供されている。
以下略 AAS



20:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 20:13:39.56 ID:D/gZfYJM0
 夕美ちゃんの部屋は、まるで植物園だった。
 リビングもバルコニーも、床もテーブルの上も、至る所に大小色とりどりの花が咲き乱れている。

 よくよく見たら、植木鉢や花瓶だけでなく、スリッパやトイレのペーパーホルダーのカバー、食器、冷蔵庫のマグネット等、あらゆる小物に至るまで、花柄のモチーフで溢れていた。
 ここまで徹底していると、感心してため息が出る。
以下略 AAS



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