194:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 22:51:33.56 ID:/2q0Qaon0
紺之介はらしくなしに彼に若干の恐怖を抱いていた。
紺之介(なんだ……こいつっ……)
髭の男の面構えの中には禍々しい狂気たる何かが渦巻いており、それを紺之介は本能的に感知したのである。
195:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 22:52:42.98 ID:/2q0Qaon0
紺之介「『刀狩り』か?」
「いいや、違うぜェ」
196:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 22:53:36.39 ID:/2q0Qaon0
「あ゛? んなモン強そうだったからに決まってるじゃねェか」
紺之介「は……?」
男の返事に紺之介の額は多くの汗に濡らされる一方である。彼の募り募った焦りはとうとう確信へと迫った。
197:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 22:55:17.83 ID:/2q0Qaon0
紺之介「源氏……」
紺之介はそう呟いて己の旅の記憶を辿りつつ彼が何者なのかを改めて模索し始めた。
まだ信用ならなかったのだ。『全くの他人を一目見ただけで強者と決めつけ尚且つそれだけを理由に斬りかかる』彼の心情を。
198:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 22:56:00.06 ID:/2q0Qaon0
源氏「なァもういいか? 三つも質問に答えてやったんだ。そろそろ殺し合ってくれたっていいよなァ!!!」
紺之介「っ……!」
紺之介が納得いく結論を出す隙もなく源氏は再び彼に太刀を下す。二度目の一撃は不意に来た先ほどの物より重く、紺之介の愛刀に威圧抑圧重圧がのし掛かる。
199:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 22:57:07.18 ID:/2q0Qaon0
源氏「うぉっ」
自らにかけられた源氏の体重を利用し彼の剣を引き寄せてから滑らせ彼が前のめりに躓きかけたところを素早く右にかわし側背を取る。
紺之介(もらった……!)
200:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 23:00:20.88 ID:/2q0Qaon0
紺之介「何ッ!?」
源氏「予想以上におもしれェじゃねぇか……この感じは久しぶりだぜ」
そのまま片腕だけの力で紺之介の太刀をはねのけると紺之介の空いた懐に猪のごとき獰猛な突きを放つ。
201:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 23:01:47.83 ID:/2q0Qaon0
だが無論片腕のみで渾身の一振りを受けられたことは想定外である。一度後足で引いた紺之介の表情はより余裕の無いものに変わっていく。
そこから一太刀、また一振りと源氏との攻防を交わしていく中で紺之介の心拍数は上昇していった。
紺之介(この戦い……冗談抜きに命を落とすことになるかもしれんな)
202:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 23:02:41.40 ID:/2q0Qaon0
しかし当然源氏にはそんな彼の思惑を知る由も無し。彼は次第に疑念のこもった目で紺之介の腰刀を睨むようになった。
源氏「……それ、抜かねェのか?」
一人の侍が脇差でもない刀を三本も携帯していることは非常に稀である。よって源氏の強者を求める血が疑ったのは紺之介が多刀の使い手であるということであった。
203:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 23:03:08.76 ID:/2q0Qaon0
源氏の言葉に紺之介はつい口元を緩めた。彼の言葉によってやっと自らが幼刀を戦わせることを全く考慮していなかったことに気がついたのである。
だが源氏が刀狩りではないと分かっている以上事実を語る義理も無しと紺之介は引きつった笑みのまま己の剣を示した。
紺之介「当たり前だ。俺の剣は父から譲り受けた護衛剣術……故にそれが誰かであれ刀であれ己の命のためであろうと護るためにこの剣を振るのみよ」
204:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 23:03:37.66 ID:/2q0Qaon0
源氏「護衛剣術……」
源氏の眉が歪む。彼は何かを思い出したかのように左人差し指でその眉をかいた。
紺之介(……なんだ?)
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