15:名無しNIPPER[saga]
2019/02/20(水) 21:13:22.63 ID:vutjDZzWo
『隊長殿も、せっかくですしハスミンに会いに行ってみましょうよ。 それに我々にも積もる話というものがありましょう』
「そういうものかな……」
ため息を漏らしながら後ろに体を反らして大きく伸ばした。
16:名無しNIPPER[saga]
2019/02/20(水) 21:16:18.19 ID:vutjDZzWo
──────
土曜日の13時5分前、電気街口の柱にもたれ掛かったまま私はワッキー氏の到着を待っていた。
秋葉原は移り変わりが激しすぎて、都内住みの私ですら何度来ても慣れない。
17:名無しNIPPER[saga]
2019/02/20(水) 21:18:36.93 ID:vutjDZzWo
──────
わざわざ早い時間に来て席取りに励む輩は我々だけだと思っていたが、そうでもなかった。
家電量販店のイベントスペースにたどり着いた頃にはすでに20人ほどが列をなしていた。
18:名無しNIPPER[saga]
2019/02/20(水) 21:20:27.90 ID:vutjDZzWo
「なるほど」
「この3人はさすがにご存知ですかな?」
「ああ、娘がファンらしい」
19:名無しNIPPER[saga]
2019/02/20(水) 21:22:08.53 ID:vutjDZzWo
「隊長殿、こっち!こっち!」
どうすればよいかも分からぬ私を、ワッキー氏が遠くから手招きしていた。
20:名無しNIPPER[saga]
2019/02/20(水) 21:25:04.13 ID:vutjDZzWo
──────
『……神谷さんはこの曲、歌ってみてどうでしたか? レコーディングの時の感想をお聞かせください』
『えっ、あ、あたし!? なんで! 何も聞いてないぞ!』
21:名無しNIPPER[saga]
2019/02/20(水) 21:27:22.52 ID:vutjDZzWo
対してステージの左端―――私からはトライアドプリムスの神谷奈緒に隠れてほとんど見えない―――私の位置から一番遠くにいたのが長富蓮実だった。
どうやらあちらは緊張が勝っているらしい。柔らかな笑顔こそ保っているものの、体は微動だにしていない。
しかし写真でみた時の古めかしく懐かしいオーラは実際に見るとひとしおで、私は年甲斐もなくドキドキしてしまっていた。
22:名無しNIPPER[saga]
2019/02/20(水) 21:29:35.49 ID:vutjDZzWo
──────
“では皆さん、名残惜しいのですが……そろそろお時間ということで、今回の販促イベントはこれにて終了とさせていただきます”
23:名無しNIPPER[saga]
2019/02/20(水) 21:31:41.53 ID:vutjDZzWo
「あの……」
「あっ、すみません。 握手会の列は向こうが最後尾で……」
「いえ。違うんです、その……脇にいた2人とは……握手はできないのでしょうか」
24:名無しNIPPER[saga]
2019/02/20(水) 21:33:09.98 ID:vutjDZzWo
「長富の担当の者です」
「……はい」
「申し訳ないのですが、今回はトライアドプリムスのイベントでして。 メンバーの3人だけが握手会の対象です」
25:名無しNIPPER[saga]
2019/02/20(水) 21:34:27.26 ID:vutjDZzWo
「ツイッターで彼女のことを知って……昔ながらの女の子で今時珍しいなと、興味を抱いたもので……それだけなのです」
「お気持ちはありがたくいただきます。それでも、今日のところは会わせて差し上げることはできません。ご了承いただきたい」
気恥ずかしさもあったが、マネージャーが私より歳上に見えたのもあり、気づけば正直に話してしまった。
37Res/35.29 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20