16:名無しNIPPER[saga]
2019/02/20(水) 21:16:18.19 ID:vutjDZzWo
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土曜日の13時5分前、電気街口の柱にもたれ掛かったまま私はワッキー氏の到着を待っていた。
秋葉原は移り変わりが激しすぎて、都内住みの私ですら何度来ても慣れない。
4月の半ばにもかかわらず快晴の青空からじんわりと暑さが襲う。
「……お、隊長殿ですかな?」
「……やあ、久しぶりだね」
「お久しぶりであります」
あまりオフで「隊長」と呼ばれたくはないが、彼は私をそう呼ぶ以外に知らないし、
私も今さら新たな呼び名を決めるつもりはない。今後はスルーする。
「もう汗ばんでるじゃないか……何してきたんだ?」
「会場の下見ですよ。 それと、昼飯に激辛の麻婆豆腐を食べましたので、それのせいです」
「……そうか」
「さあゆっくりしている暇はありませんぞ。 今ならいい席を確保できます、行きましょう!」
“積もる話”とやらもそこそこに、ワッキー氏は急ぎ足で恰幅のいい体をずんずん運ばせる。
「おいおい……イベントは一時間後だろう?」
「一時間しかありませんぞ!」
「ちょっと待ってくれよ……全く」
数年ぶりの再会の余韻に浸る暇もなく、私は人混みに消えては現れる彼を必死に追いかけた。
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