24:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/16(水) 01:12:19.64 ID:M4jexkrI0
生きていく場所は、氷川紗夜を知っている人間が誰もいないところであればどこでもよかった。だから新幹線が停車した駅が綺麗だったからという理由だけで、あたしは仙台で、氷川紗夜として暮らそうと決めた。
その暮らしでまず一番に感じたのは、お金の力は偉大だということ。
25:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/16(水) 01:12:56.45 ID:M4jexkrI0
仕事にもおねーちゃんの思考にも慣れたころ、休みの日にボーっとテレビを眺めていると、パステルパレットの解散特集が組まれていた。
彩ちゃんが号泣していた。
26:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/16(水) 01:13:29.06 ID:M4jexkrI0
◆
「おねーちゃん、もうこの世にいないから」
27:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/16(水) 01:14:29.61 ID:M4jexkrI0
「日菜ちゃん、あなたのやっていることは……無駄なことよ」
そんなこと考え出したところで、千聖ちゃんは言葉を吐き出す。「そうかもね」と短く応える。
28:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/16(水) 01:15:00.32 ID:M4jexkrI0
「ごめんね。それは無理なんだ」
「っ、どうして……?」
29:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/16(水) 01:15:31.74 ID:M4jexkrI0
今さらだよ。もう全部。もうおねーちゃんはいないんだ。認めたくないけど、きっとあたしのせいで、苦しんで、苦しんで、苦しんで苦しんで苦しみぬいて、空の向こうへいってしまったんだ。あたしがやるべきことなんてもう一つしかない。おねーちゃんになりきって、おねーちゃんの苦しみを味わって、おねーちゃんの気持ちを少しでも分かった振りをして、誰にも見つからない場所で消えることだけなんだ。
輪廻転生。生まれ変わり。因果応報。全部ザレゴトだけど、神様なんていないけれど、あの小説に書いてあったことがもしも起こるのなら、次に生まれ変わったおねーちゃんには幸せでいてもらいたいから、おねーちゃんを苦しめるあたしにあたしが止めを刺さないといけないんだ。
30:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/16(水) 01:16:03.95 ID:M4jexkrI0
闇雲に千聖ちゃんから、あたしを追う影から逃げる。
三年過ごした見慣れた街が滲み、足早に通り過ぎていく。
31:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/16(水) 01:16:46.86 ID:M4jexkrI0
◆
夢を見ていた。温かい夢だった。
32:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/16(水) 01:17:13.39 ID:M4jexkrI0
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33:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/16(水) 01:19:08.30 ID:M4jexkrI0
私はからっぽなのだと思います。
何をするにしても、自分の中には人に対する嫉妬だけが、それもとりわけ血を分けた肉親に対しての醜い気持ちだけしか入っていませんでした。負けたくなかった。勝ちたかった。ただそれだけでした。
34:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/16(水) 01:19:34.81 ID:M4jexkrI0
ごめんなさい
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