26:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/16(水) 01:13:29.06 ID:M4jexkrI0
◆
「おねーちゃん、もうこの世にいないから」
口にした言葉は予想以上に重くあたしの身体に圧しかかる。このまま押しつぶしてくれれば楽なのにな、と思うけれど、ギリギリ踏ん張れるくらいの絶妙な重さをあたしに押し付けてくるものだから参ってしまう。
「そうだけど……でも、だからってこんな……」
なんともないように口にしたあたしに、千聖ちゃんは泣きそうに、顔をクシャリと歪ませた。あたしはその顔に向かって、続けて言葉を投げる。
「もう分からないよ。何も分からない。分からないんだ。おねーちゃんのことも何もかも。ああでも、一個だけ分かったことはあったんだよ」
あたしは言葉を切ってから、自嘲の笑みを顔いっぱいに浮かべる。
「きっとあたし、昔からおねーちゃんのこと何も分かってなかったんだって、分かったよ」
千聖ちゃんはあたしのその言葉を聞いて、何を言うべきか考えているようだった。しばらく無言のまま見つめ合う。灰色の空から雪がぱらぱらと降りそそいでいる。いっそこのまま全部が雪に埋もれてしまえばいいのにな。
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