27:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/16(水) 01:14:29.61 ID:M4jexkrI0
「日菜ちゃん、あなたのやっていることは……無駄なことよ」
そんなこと考え出したところで、千聖ちゃんは言葉を吐き出す。「そうかもね」と短く応える。
「今あなたが言ったように、もうあなたのお姉さんはいない。だから、その気持ちが分かる訳なんてない。……なら、日菜ちゃんのやってることも無駄なことじゃない」
「そうだね」
「……それなのに、まだそんなことを続けるの?」
「うん」
「やめなさい。みんな心配してるのよ。彩ちゃんも、イヴちゃんも、麻弥ちゃんも……もちろん私だって。みんな、日菜ちゃんのことは大事な仲間だし、友達だって思ってるんだから」
「そっか。ありがとね」
「お礼なんかいらないわよ。そんなものが欲しくてあなたを探していたわけじゃないんだから」
「探してくれてたんだ?」
「……当たり前じゃない」
千聖ちゃんは言葉に詰まりながらも続ける。
「悲しいことがあってショックだったっていうのは分かるわよ。でも、それで、もしかしたら日菜ちゃんまでって思うだけで……私たちは……」
「そっか。そうなんだ。ありがとね、千聖ちゃん」
「だから、お礼なんていらないから……まだ、きっとやり直せるから……一人にならなくたってお姉さんのことが分かるかもしれないでしょ? だから私と一緒に東京に戻りましょう?」
「…………」
最初に浮かんでいた怒りの色はとっくのとうに失くなっていた。今の千聖ちゃんの顔には、ただ純粋な心配と優しさの織り交ざった色があった。それはとっても温かくて居心地のいい色だった。
……だけど。
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