39:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:55:12.01 ID:wXX+fiS7o
――――――
アイドル業界の“洗礼”を受け、私は無言でビルの玄関を後にします。
40:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:56:50.40 ID:wXX+fiS7o
とりあえずのお疲れ様会として、二人で駅前のカフェに入りました。
こんなとき、のむんだったらコーヒーに限ります。
もちろん、お砂糖は多めですが。
41:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:59:12.31 ID:wXX+fiS7o
――――――
「……あ、そろそろ……ごめんなさい。電車の時間なので、私は帰ります!」
「……あぁ、もう8時ですもんね」
42:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:59:42.64 ID:wXX+fiS7o
確かに、そんな事ができればどれほど数奇で素敵なことでしょう。
「……そうですね。そうなればとっても楽しいと思います……」
「ん? ちょっと待って……」
43:名無しNIPPER[saga]
2018/12/15(土) 00:00:35.42 ID:UJ40b2tyo
――――――
その女の子とは、それっきり会っていません。
最後かも知れないと言っていた事務所に決まったのか、
44:名無しNIPPER[saga]
2018/12/15(土) 00:01:37.75 ID:UJ40b2tyo
秋になり冬が近づく頃、いつものように「今回もだめだった」とお母さんに連絡を入れたとき、
「蓮実。いつでも帰ってきていいからね」
45:名無しNIPPER[saga]
2018/12/15(土) 00:03:27.39 ID:UJ40b2tyo
――――――
「はぁ……憧れの季節は、もう終わり……。 吐息のネットも、悲しみ色……」
46:名無しNIPPER[saga]
2018/12/15(土) 00:04:51.30 ID:UJ40b2tyo
「昔のアイドルソングばかり歌ったら『センスが古い』って言われてしまって。まるで。ローカル局のモノマネ大会みたいって……
『別のは歌えないの?』ってリクエストされたんですけど、私どうしてもあの歌で審査して欲しくて……」
「どうして?」
「私にとって、昔のアイドルソングは大切なものなんです。アイドルのことを大好きな母が、ずっと子守歌代わりに歌ってくれたんです」
47:名無しNIPPER[saga]
2018/12/15(土) 00:06:33.58 ID:UJ40b2tyo
「確かに、君の目指してる清純派アイドルってのは、今となっちゃ古くさいもんだ。俺でも分かる」
「…………」
「オーディションでも審査員にぼろくそ言われて、笑われる。今時そんな方向性バカらしいって」
「…………」
48:名無しNIPPER[saga]
2018/12/15(土) 00:07:38.32 ID:UJ40b2tyo
「確かに、この時代にもなって30年も前の古くさいアイドルに憧れて、そんなアイドルに自分もなりたいだなんて真剣に考えてるのは、私くらいしかいないと思います。
だからこそ、なんです。 ……私しかいないからです」
「……君しか?」
「私がこの夢を諦めたら、同じように清純派アイドルになろうとする人なんていない。 いなくなっちゃうんです。 私や……母が大好きなアイドルたちは」
49:名無しNIPPER[saga]
2018/12/15(土) 00:09:06.16 ID:UJ40b2tyo
「甘くなかったんです。母には申し訳ないけれど、今日が上手くいかなかったら、島根に帰ろうと思ってました」
「そうなのか?」
「私の憧れてた清純派アイドルはもういない。残念ですが、これが現実です」
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