40:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:56:50.40 ID:wXX+fiS7o
とりあえずのお疲れ様会として、二人で駅前のカフェに入りました。
こんなとき、のむんだったらコーヒーに限ります。
もちろん、お砂糖は多めですが。
「他に、事務所受けたりしてるんですか?」
「いえ、私は今日が初めてで……ここがダメなら、また探そうかと」
「そうなんですね。 私はもう何回かいろんなところに行ったんですけど、どこもダメで……今度受けるところが、最後になるかも知れないです」
対面席で、コロコロと氷を鳴らしながら女の子が話します。
どうやら彼女はめげずに何度もオーディションを受けているようでした。
そうですね、たった一回落ちただけの私が諦めるのは早いに決まってます。
「そうなんですね。 ……もしそこが上手くいかなかったら、どうするんですか?」
「……さぁ、まだ考えてないけど……どこからも『才能ない』って言われたら、アイドルは諦めるしかないですかね……?」
やっぱり自分は無理なのかも、と弱音を吐いているその子には、
確かに目を引くような華やかさや独特のオーラといった、大スターが持ち合わせるものはまだないように思えます。
だけど……
「……でも、あなたならきっと大丈夫だと思います」
「そうですか? どうして?」
それは私も同じようなものです。
アイドルに必要なものなんて、自分でもまだよく分からない。
ただ自然と出てきた彼女への言葉は決して慰めではなく、今日という短い時間を一緒に過ごした私からの本心です。
「だって初めて会ったのに、あなたといると自然と笑顔になれて元気が出てきますから。
アイドルって、そういうのが一番大切だと思うんです」
少しだけ顔を赤らめてはにかむ女の子の表情は、同じ女の私から見てもとっても可愛くて魅力的でした。
「ぁ、ありがとうございます……そういうもんですかね? ……あはは、照れちゃうな……」
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