41:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:59:12.31 ID:wXX+fiS7o
――――――
「……あ、そろそろ……ごめんなさい。電車の時間なので、私は帰ります!」
「……あぁ、もう8時ですもんね」
時計を見るまでもなく、真夏の日差しはすっかり落ち込んで外は真っ暗でした。
「あれ、他の友達は『まだ8時なのに〜?早すぎだよ』って言うところなんですけど……」
「島根では普通の時間ですから。ふふふっ」
「あ、そうなんですね。 ……ふふふっ」
私との他愛もない話で、少しでも彼女が元気を取り戻してくれたなら。
大きなステージで観客を沸かすこの夢がまだ叶わないとしても、せめて目の前にいる誰かだけは笑顔にしてあげたい。
そのくらいなら、今の私にもできる気がします。
お構いなくと遠慮する女の子をたしなめつつ、最後は駅の入り口までお見送りしました。
「じゃあ、これで。 今日はありがとうございました!」
「こちらこそ、楽しかったです。オーディション、合格してるといいですね」
「お互いに、ですね」
女の子は改札を通過したすぐの場所で、もう一度こちらを向きなおします。
「……あの、もしいつかどこかで、今度はお互いアイドルとして出会えたなら……そのときは、是非一緒に。 なんて!」
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