46:名無しNIPPER[saga]
2018/12/15(土) 00:04:51.30 ID:UJ40b2tyo
「昔のアイドルソングばかり歌ったら『センスが古い』って言われてしまって。まるで。ローカル局のモノマネ大会みたいって……
『別のは歌えないの?』ってリクエストされたんですけど、私どうしてもあの歌で審査して欲しくて……」
「どうして?」
「私にとって、昔のアイドルソングは大切なものなんです。アイドルのことを大好きな母が、ずっと子守歌代わりに歌ってくれたんです」
「……」
「それを聴いて育ったから……私も歌いたくて。この場だけじゃなくて、これからもずっとずっと……」
吐き出しながら、少しずつよみがえってくる思い出がいっぱいで。
「それで、少しでもそういうアイドルに近づきたいって思ってオーディションに来たんですけど……」
「なるほど」
「もしかしたら、清純派アイドルなんて求められてもいないし、もういないのかもしれませんね」
きっと優しい方なんでしょう。こんな独り言に付き合って、最後まで聞いてくれる……
ただ、私の方はもはや投げやりに、諦めるようにどんどん言葉が突いて出てきます。
「私の好きな昔のアイドルは、思い出の中にしか……」
「…………」
「黙って聞いて下さって、ありがとうございました。 さようなら……」
「確かに」
「!」
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