9: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:07:38.38 ID:TYKVB7XU0
「……奈緒ちゃん、Pさんがね、アタシの最後の仕事をライブにしたんスよ」
「……」
10: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:08:12.85 ID:TYKVB7XU0
「そっか、神谷さんもウサミ、安部さんも……」
二人がライブに出てくれる、と言うこと伝えると、彼は嬉しそうに笑った。
11: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:08:38.81 ID:TYKVB7XU0
◆◇◆
僕たちは、終わりに向かって動いていた。最後のライブに向けたレッスンが増え、代わりに普通の仕事が減っていく。
12: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:09:27.65 ID:TYKVB7XU0
退社前だった。空に紫色が来る時間が早くなっている。そろそろ秋物をだすか、と思いながら席を立った。
そのときだった。先輩プロデューサー(神谷奈緒さんの担当)に声をかけられる。あの人、さっき席を外したばっかりなのにどこへ行っていたんだろう。
13: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:10:23.44 ID:TYKVB7XU0
先輩はどうやら、僕が比奈の引退が近づくにつれて気を張り詰めすぎているんじゃないと思い、少しくらいリラックスしろよという意味で缶コーヒーと、後で食事でも奢ろうとしていたらしい
そして、屋外の自販機コーナーへ向かうと、秋が近づき寒くなっていることに気がついたらしい。そして、ホットの方が良いかもしれないと思ったらしい。
14: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:11:12.98 ID:TYKVB7XU0
◆◇◆
巡る季節は、温度を連れ去っていく。暑かったこの間までとは打って変わって、少し肌寒い。秋の温度だった。
15: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:12:01.12 ID:TYKVB7XU0
◆◇◆
あまりに早く起きすぎたから、電話をかけてしまった。電話越しの声は、いつも以上にいつも通りで、安心した
16: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:12:35.62 ID:TYKVB7XU0
会場は満員。照明はまだ落としてないけれど、僕の目には、緑色のペンライトが多いように見えた。いつものジャージの色が、いつもよりも多い。舞台袖からそれを確認してから、比奈の控え室へ向かった。
扉を開けると、椅子に座りヘッドホンで音楽を聴いている比奈がいた。煌びやかな衣装とパイプ椅子は、あまり似合わなかった。衣装は最高に似合っているけど
17: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:13:35.65 ID:TYKVB7XU0
◆◇◆
真っ暗な会場の、白いステージの上。私達はそこに立つ。
18: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:14:13.46 ID:TYKVB7XU0
照されるステージ。後ろから響くメロディ。ステップの度に鳴る地面。振られて残像を作るペンライト。
一曲目の、この五分間。レッスンで培ったもの、今までに積み上げたものを、この五分間でぶつけるんだ
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